第7話 海ってこんな場所なのかよ…

「うん、そろそろ体調も良くなってきたし、もう大丈夫だろう」


「そうですか、それでは皆のところへ行きましょうか」


 あいつらにも、迷惑掛けたし一応謝るか。


「よし、それじゃ行くか」


 俺と鈴華はテントを出て、おっつーとひかりのもとに行った。


「お、星がやっと来たか、心配したんだそ」


「悪い悪い、迷惑掛けちまって、ひかりもすまん」


「変態だもんねー仕方がないよねー」


「うぐッ!痛ぇ、ぐうの音も出ねぇ」


 クソ…こいつ、ゼッテーからかいにきてる。俺が悪いけど…


「まぁまぁ、そんなこと言うなよ、星が可哀想だろ」


「お、おっつー」


 やっぱりお前は最高の友だ。


「流星さんも復活したことですし、皆でなにか遊びましょうか・・・そうだっ!ビーチバレーなんかは━━━━」


「ぐぅ~」


 鈴華の言葉を遮るかのように俺のお腹が鳴った。時計を見てみると、もう十二時を過ぎていた。


「もうこんな時間ですか、ではまずお昼にしましょうか、確か向こうに海の家があったと思います」


「よーし、メシ食べに行くぞー!」


「私もそろそろお腹減ってきた」

 

 皆も腹が空いているようだ。俺も昼飯が楽しみで仕方がない。それに海の家は初めて行くのでとても気になる。


「とにかく行ってみよう」


━━━※━━━


 俺たちはテーブル席に座りメニューを見ていた。


「思った以上に中はキレイだな」


「そうだな。それより星はメニュー決めたか?」


「もう少し待ってくれ」


 海の家と言えばもっとラフなイメージがあったのだが、この店のメニューはまるでレストランのようだ。俺の思い込みだろうか・・・美味しそうだからいいんだけど・・・それよりも・・・


「じゃあ俺はこの「王道!伝説のナポリタン」にしようかな・・・」


 おかしいだろこのネーミングセンスッ!何でこんなに中二病くさいの?カッコいいのか悪いのかわかんねぇよ・・・


「じゃあ俺は、「人生を極めし極上のオムライス「極」」にする」


 コイツ、よくこんなのスラスラ言えるよな、俺には無理だ。てかここツッコませて・・・極パラダイスッ!


「じゃあひかりは?」


「う~ん、私は、「邪道とうたわれし漆黒のナイトメアミートパスタ」にしよ」


 色々とツッコミたいところがたくさんある。まず何で邪道なんだよ、ミートパスタも王道だろ、邪道って言いたいだけだろ、あとその漆黒のナイトメアはどこから出てきたんだよ。だったらイカスミパスタの方がいいと思うんだが…


「花園さんは決まった?」


「はい、では私はこの「━━━━━━」


 ハイッ、スト━━ップ!アウト━━━ッ!


 そして俺たちは店員さんを呼びだした。


「さあ、汝らよ、貴様らの願いを叶えてやろう」


 あからさまにヤバそうなのが来た、どうやらこの人が店長らしい。てか何で汝らよのあと貴様らから入るの?語彙損失?


「━━━でお願いします」


 なんとか注文することができた。


「うむ、おヌシらの願い、聞かせてもらったぞ、それでは私は戦場に戻らせてもらおう、サラダバーッ!」


 オイッ!最後のピンポイントでパクりじゃねーかッ!材◯座◯輝かよッ!しかも声そっくりだし、「グン◯グル◯ンマー」とか言うんじゃねーの?それと何でそんなに二人称ブレブレなの?


━━━十分後━━━


「お待たせしました、こちら「人生を極めし極上のオムライス」になります」


 すると、さっきの中二病店長とは違う店員が来た。名前スラスラ言えるところがスゴいな。


「あれッ!?愛奈じゃん!」


 どうやらこの女性店員をひかりは知っているらしい。


 見た目は黒髪ロングの清楚系だが、雰囲気はギャルっぽい感じだ。


「あれッ!ひかりお姉ちゃん!?」


 ひかりお姉ちゃん?確かひかりは一人っ子だったような気がするが・・・


「ひかりって妹いたのか?」


「この子は取巻とりまき愛奈あいな、 妹じゃなくて幼なじみ、ちなみにうちらの学校の一年生」


 ひかりに幼なじみがいたなんて意外だな。


「ひかりお姉ちゃんは何してるの?皆で海に遊びに来たの?・・・もしかして、二人のどっちか彼氏だったり?」


「そんなわけないじゃん、この二人はないわ~」


 ひかりさん、それはバカにしているってことでよろしいのですね?━━━━━ふざけんな。


「ふーん、そうなんだ、・・・!そうだ先輩たち、名前なんて言うんですか?」


「俺は、乙黒 玄也だ」


「えっと、俺は星 流星…」


「じゃあ乙黒センパイと流星センパイですね!」


「え・・・あ、ああ」


 どうしてもこのノリついていけそうにない。


「あっ、そろそろバイトに戻らないと!バイバイ・・・流星センパイ♪」


 そう言うと彼女は厨房へと消えていった。


・・・ん? そーいや何で俺だけ名指しなんだ…新手のイジメ?まあいいか…


 この後、注文したのが全員分来たのでみんなで食べた。 


 普通に美味しかった。

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