第4話 地獄の授業、始まるのかよ…

 鈴華との同棲生活が始まった俺は鈴華と時間をずらして登校していた。理由は簡単、転校二日目で俺と登校なんてしたら、俺はクラスの奴らに○され、鈴華は風評被害に遭う。それだけは避けたい。


「ようっ星おはよ」


 後ろから強く叩かれ、バランスを崩してしまった。


「いてぇよおっつー、もっと俺をいたわれ」


「悪りぃ悪りぃ、でも労らねぇよ」


 今日のおっつーはやけにテンションがハイだ。


「ついに来たぞ!あれがッ!」


「いや、あれって何だよ」


 あれとは何のことだろうか、あれか、あれなのか、俺の青春が来た的なやつか、とりあえずぜとけ。


「何って夏といえば水泳の授業に決まってるたろッ!」


「あーだよね、キミそういうやつだよね」


 うん、確かに夏といえば海で泳ぐ!って青春のお決まりだけど、こいつはそんなやつじゃない、端的に言うと 《運動バカ》だ。


 こいつの場合、ただただ純粋に水泳をしたいだけで、女子の水着になんて興味がない、そんな奴だ。


 ちなみに俺は水泳のことなど今の今までその存在すら忘れていた。理由は簡単、やらないからだ。


 俺はそこの運動バカことおっつーとは違い、絶望的な運動音痴だからだ。だから俺は毎年、毎回休んでいる。でも嫌なことばかりではない。なぜかって?それはまぁ女子のスクみ・・・ゴホンゴホン、ではなく、人間観察が出来ていい。


「ま、せいぜい足掻けよ」


「違げーよ足掻くんじゃなくて泳ぐんだよ」


━━━※━━━


「先生すみません、今日休んでいいですか?」


 もちろん休む気満々だ。


「お前、今年もやらないつもりか、評価つかんぞ」


「大丈夫ですよ、一、二回はやりますから」


「はぁ~もういい、かってにしろ」


 よしっ、これで見学になった、あとはみんなを待つだけだ。


「ヒャッハープールだ!」


 男子が先に来たか、相変わらずなんで雑魚キャラみたいなんだよコイツら。


「コラッ!まだプールに入るな!」


 行動も小学生以下だ、先生もお怒りである。


 それはそうと、言って無かったがこの学校では男子と女子、一緒に水泳の授業をやる、こんな男子に都合の良い学校があるのか?


「そろそろ女子が来るころか・・・ゴクリ」


 俺はドキドキのあまり、固唾を呑んだ。


「おいっ!女子が来たぞ」


 ある男子が大きな声で言い、クラスのバカたち&俺はそっちを向いた。


「やったープールだ!」


 そこに来たのはひかりだった。


「なんだよ、お前かよ…」


「悪かったわね、わ・た・しで!」


 ひかりは皆には人気はあるが俺はあまり興味はない、まぁインパクトのないスタイル・・・おっと、そこは触れないでおこう。


「ほ・し・く・ん~、今失礼なこと考えたよねぇ~、と・り・あ・え・ず━━━◯ねッ!」


「ゴフッ!」


 見事なまでの腹パンを食らった。その時、俺は思った。痛っでえええぇぇぇッ!


「「「おおーッ!」」」


 俺が苦しんでいると、男子が騒ぎはじめた。きっと女子が来たのだろう、俺は痛みを堪えてでも見に行った。


 やはり、一際目立っていたのは鈴華だった。そりゃまあ、あんなスタイルでスク水はアウトだよな。鼻血出てきそう。


「それじゃ授業始めるぞ、・・・おい、乙黒がいねぇぞ」


「アイツならもう何周も泳いでますよ」


 おっつーは来た時からずっと女子など見向きもせず泳いでいた。


「コラアアァァァッ!!まだ泳ぐなぁぁぁッ!」


 くして水泳の授業が始まったのであった。


━━━※━━━


 授業の内容を終えた皆は自由時間になっていた。


「俺はまだまだ泳ぎ続けるぞ!」


 おっつーの奴は不完全燃焼なのかずっと泳ぎ続けている。


「流星さん、見学なんかしてどうしたんですか?」


 すると、ボーっとしていた俺に鈴華が話しかけてきた。


「俺は昔からスポーツが嫌いなんだよ、あと学校では話し掛けてくるなといっただろ」


「休憩くらい良いじゃないですか」


「そうだな、んで、二日目でもう学校はなれたのか」


「さすがにまだ慣れないですね、でも皆優しくてとても楽しいです」


「そうか、それはよかったな」


 こんなクラスで楽しいのか?まあ確かに傍から見たら面白いとは思うけど。


「くらえッ!」


「うわッ!なにしやがんだ!!」


 俺はいきなり水をかけられた。


「オイッ!ひかり!服が濡れたじゃねーか!」


「だって、二人が仲良さそうに話してたから気になったんだもん、いつの間に仲良くなったの?星のくせに」


「い、いや、ただ登校中に道で迷ってたから少し助けただけだ…」


 ちょっとこの言い訳は苦しいか・・・てか、最後のは余計だ。


「ふーん、そうなんだ、やさしいねぇ~」


 めっちゃニヤニヤしているが気にしないでおこう。


「おーいそろそろ時間だぞ」


 先生の声掛けでかなり時間がたっていたことに気が付いた。


「えーもう終わりかよー」「まだ泳ぎ足りないよー」「もう終わってしまうのか、絶景だった。」


 クラスの奴らも現実に戻されたよう感じだった。てか最後の奴おかしいだろ、確かに俺も泳ぐか女子を見るかと問われたらもちろん後者だけど。


「・・・ん?乙黒はどこだ」


「アイツならまだ泳いでます。目指せ千周らしいです。」


「やめろっつってんだろォォォォォッ!」


 先生━━━━━━


 お疲れ様です。







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