第3話 王道ラブコメかよ…(後編)

 学校が終わり、今日も疲れて家を目指して歩んでいた。すると家の前に引っ越し業者のトラックがあった。隣の家、引っ越すのだろうか、聞いてないぞ。


 しかし、その業者の人が出入りしていたのは俺の家だった。


 俺の家は一軒家だが今は一人暮らしだ。理由はライトノベルにありがちな両親が仕事の関係で外国に行っているからだ。なのに家に引っ越し業者がいるのはおかしい。


「すみません、家に何かご用でしょうか?」


「あっ!キミがここの家の、話しは聞いてると思うけどこれどうしたら良い?」


「は?」


 何のことだかさっぱりである。━━━すると、ポストにとある手紙が入っていた。


 その送り主は母親からだった。


『ヤッホー!元気にしてる。実は私の友達の娘さんが流星が行ってる学校に行きたいけど家が遠くて行けないらしいから家に住んでもらうことにしました!流星に拒否権はないけど、頑張ってね!』


・・・・・・


「ふざけんじゃねぇーーーっ!」


 なにがここに住むだ!しかも!しかも!?

俺に拒否権はないだと!?ふざけんじゃねぇーよ!


・・・ん?待て俺、落ち着け、娘ってことは女子が来るのか?頭がくらくらしてきた。


「あ、あの…」


 俺が頭を抱え悩んでいると玄関から誰かがでてきた。


「お、お前…花園鈴華」


「あの、すみません、いきなりここに住むことになってしまって」


 ヤバい、どうしよう、まったく理解が追いつかないどういうことだ、夢なのか?


「ひとまず整理しよう」


 とりあえず引っ越しの方を終わらせた。


「・・・で、まず何から話してもらおうか…」


 一応態勢は整えたものの、まず何から始めれば良いのかわからない。


「えーと、花園…さんはなぜ家に?」


「えーと、それは━━━」


 話しを聞いたところ、手紙に書いてある通りだった。


「これからどうすれば・・・参ったな」


 問題なのは部屋はあるから全然平気だけど、洗濯とか風呂とか食事とかが問題だ。


「それじゃ、ここに住むための分担とルールを決めるぞ」


「あっ、はい」


 前に読んだライトノベルが同棲ものだったため、スムーズに進んだ。ライトノベルの偉大さがよくわかった。・・・まさかラノベがこんなところで役立つとは思わなかった。


「とりあえずこんな感じでいこう、えっと…」


「あっ、自己紹介がまだでした。私は花園鈴華と言います。気軽に鈴華と呼んでください」


「お、おう…」


 まあ、自己紹介なら学校で聞いたけどな…


「お、俺は星流星だ。呼び方はお好きに」


「それじゃあ…流星さん、これからよろしくお願いします」


 すべてを終わらせ、安心したのか腹が減ったていたことに気がついた。


「もうこんな時間か、コンビニでなにか買ってくるか」


「あ、それなら大丈夫ですよ」


「・・・ん?どうしてだ」


「流星さんはあまり料理を作らないと聞いたので、普段はどんな生活をしてるんですか?」


 そう言えば、俺は毎日コンビニでなにかを買って家でアニメを観ながらゴロゴロしていた。


「その顔を見るからにロクな生活してませんね。ダメですよそんなの」


「う、うぅ…」


 返す言葉が見事なまでに無い。そんなこと親にも言われたことないぞ。


「これからは私が朝、昼、晩のご飯を作ります。いいですか?」


 俺的には凄くありがたい、なにより毎日女子の手料理を食べれるなんて、むしろお願いしたいくらいだ。


「じゃあ、よろしく頼む」


 鈴華は俺の言葉を聞くと台所へと向かって手際よく料理を始めた。


「俺…なにしてんだろ」


 振り返ってみるとなんて一日なんだ、白髪美少女が転校してきたと思ったらいきや、いきなり家で住むと言い始め…ヤバい、色々あったせいで疲れた。少し仮眠でもとるか…


━━━※━━━


「━━さん・・・流星さん、起きてください」


「━━━ん、」


 俺は…確か眠くなって寝たはず、なんで女子の声が聞こえるんだ?・・・そうか、鈴華だっけ、まあいい早く起きよう。


「ご飯ができましたよ」


「お、おう…」


 寝ぼけていた俺は漂ってきた美味しそうな匂いに目が覚めた。


「お、おい…なんだよこのご馳走は」


 凄すぎる、綺麗にテーブルに並べられた食べ物は肉じゃがやサラダなどが並べられている。

…あれは、ロ、ローストビーフ、だとっ!


「こ、こんな短時間でよく作ったな」


「はいっ、少し張り切っちゃいました、褒められるなんて作った甲斐がありました」


「それじゃあ、いただくかな」


「それもそうですね、それでは」


「「いただきます」」


 俺はまず、ローストビーフを口に運んだ。


「・・・・!!」


 なんだコレ!う、旨すぎる、本当にこれを作ったのか!?


「旨い!・・・お前スゴいな、こんなの普通じゃ作れないぞ、よく料理はするのか?」


「はい、昔から料理が好きでよく作ります、お口に合ってなによりです」


 もしかしたら俺は引き返しの出来ないことをしているのかもしれない。


 斯くして、俺と鈴華との同棲生活が始まったのであった━━━━

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