introduction7

 ん?ああ、あんたか。

 どうした、やけに今日は顔色がいいじゃないか。

 ・・・そうかい。いや、なんでもねえよ。ここに来るたびにしけた面されちゃあたまらねえからな。顔色がいいのはいいことさ。

 でも、・・・あんた、なんか雰囲気変わったな。何かあったのか?

 ・・ふん、そうかい。コラムが好評ねえ。俺?俺は読んでねえよ。ここにいる奴らの事なんざ、わざわざ読まなくても知ってるしな。

 それに、あんたはどう捉えてるのか知らねえが、どうせ炎上あってこその人気なんだろうよ。

 ・・・?

 おいっ!なんだよ!よせっ!おい!離せっ!

 いい加減にしろ!俺はここの警備員だぞ!ここであんたを取り押さえて、警察に引き渡す権利だってあるんだからな!

 くっ・・・。まったく、一体何だってんだ。急にキレやがって。たまたま防犯カメラの死角だったからいいようなものの、これが施設にばれたらお前出入り禁止だぞ。警備員に掴みかかる奴があるかよ。

 あ?もういい、わかったよ。今度ちゃんと読んどいてやるから、さっさと仕事に取り掛かれよ。取材に来たんだろうが。ほら、書類だ。

 くそっ、まったく・・・、それで、今日はどいつにするんだ。

 ・・・こいつか。いいか、こいつの取材はちと厄介だぞ。

 こいつはものが言えねえんだ。喋らないから、取材は設備越しに筆談でしてもらう。いいな?

 物静かな取材の始まりってわけだ。気分が高ぶってる今のお前には丁度良いだろうよ。ほら、さっさとゲートをくぐれ。

 

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る