日めくりの毎日

 一日の終わり。


 日めくりカレンダーに手を伸ばした。


 今日の日付を破ろうとして、手が止まった。


 おれは今日、何をしただろうか?


 朝起きて、仕事に行きたくないと考えながらバナナを食べて、シャワーを浴びて、スーツを着て、一日中外を歩いて、お客さんの機嫌を伺って、そして、帰ってきた。


 いつもと変わらない一日。


 ぺらぺらの紙をつまむ。


 これがおれの一日か。


 おれはカレンダーを、無造作に重ねて掴んだ。

 

 そしてその分厚さに、ぞっとした。


 これからおれは、ぺらぺらな毎日を、こんなにも積み重ねていかなければならないのか。


 破り捨てられた紙のように、過ぎた一日は決して戻ってこないというのに。


 よく分からない、激しい衝動に駆られて、おれは目の前の日めくりカレンダーを破りまくった。


 すごい勢いで、これから過ごすであろう未来が破り取られていく。


 とうとうおれは、最後の一枚まで破り捨てた。


 そして決意した。


 明日、会社を辞めよう。


 何も持たずに、旅に出よう。


 先の事なんか、考えなくていい。


 もう、一日単位でおれを区切るものなど、存在していないのだから。

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