木の葉讃歌

 私は木の葉が好きだ。


 風に揺れる音。


 季節ごとに移り変わる色。


 私の心を穏やかにし、目を楽しませてくれる。


 何よりも好きなのは、枯れ落ちた後だ。


 踏みつけた瞬間の、あの、なんともいえない心地よさ。


 サクッという音と感触が、私に我を忘れさせる。


 だが、乱暴に踏み散らしてはいけない。


 じんわりと体重をかけて、葉の崩れていく感触を楽しむ。


 それが、正しい木の葉の踏み方だ。


 飛び跳ねるように両脚で踏みつける子供なんかを見ると、つい、注意したくなってしまう。


 これは木の葉に敬意を払うことができる、大人の為の遊びなのだ。

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