携帯禁煙室

 煙草が疎んじられる世の中になって、必然的に生まれたのがこの携帯禁煙室だ。


 全身をすっぽりと覆う膜は軽くて薄い新素材で出来ていて、折りたためばポケットに入る小ささになる。


 煙は一切外に出さないが、外の空気は入ってくるので窒息することも無い。


 煙草が吸いたくなったら道の端っこにでも行って、これを広げて中で吸えば誰にも迷惑がかからないのだ。


 飛ぶように売れたが、五年後、急に製造停止になった。


 副流煙も全部自分で吸い込むことになるので、肺癌になる人が続出したのだ。


 いまだ、愛煙家達の未来は暗い。

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