愚かなる善行
ある日、蜘蛛の巣に掛かっていた蜻蛉を逃がした。
その数日後、巣の中で干からびて死んでいる蜘蛛を見つけた。
私が死んで地獄に落ちたら、蜻蛉が助けに来てくれるのだろうか。
それとも、蜘蛛が私を縛り付けにくるのだろうか。
芥川の『蜘蛛の糸』には、殺してしまった虫がどう行動するかなんて書かれていなかった。
私は、干からびた蜘蛛をいつまでも見続けていた。
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