雪あかり

 雪が降っていた。


 私はこらえきれなくなって、夜の街に飛び出した。


 もう深夜を回っており、人影はまるでない。


 普段なら怖くて一人で歩けやしないが、雪が降っているなら話は別だ。


 街の灯りがほとんど消えても、車が通らなくても、雪が降っていれば外は明るい。


 街頭の光を弾き返して、まるで雪自体が光を放っているかのようだ。


 雪はひとりの心細さとか、暗闇の怖さとか、そういったものを全て埋め尽くしてくれる。


 音のない世界は、まるで私のためだけに存在しているようだった。


 

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