第5話

「よっしゃぁぁぁぁ!!!」


 死闘を制した道満は勝利の雄叫びをあげた。


『うぉぉぉぉ!』『勝ちやがった!!』『いける!いけるぞ!!!』


 道満の雄叫びを皮切りに周りでも歓声が上がり、士気が上がる。

僅かながら生きる光明が指したのだ。


「道満にぃ!!!」


「道満さん!!!!」


「うおっとっと」


 涙を浮かべた由香里と由那が道満に勢いよく抱きついた。


「よがったよぉ」


「グスッ本当に無事で良かったですっ」


「…ったく、ありがと」


 二人は道満の無事を心から喜んでいた。そんな二人を見て道満は気が抜けて島sった。


『パチパチ〜、いやぁ道満くん。まさか、あの戦いの中で恩恵を目覚めさせるなんてすごいですね。おめでとうございます』


「さっきのが恩恵??」


『えぇ正真正銘それこそがあなたのあなたのためだけの武器です。頭の中で

恩恵を知りたいと念じてみてください。説明が見れるはずです』


「…(恩恵よ)」


加速アクセラレーション

 自身の物理速度、思考速度、動体視力、体感速度などの全ての速度をギアが一つ上がるごとに二倍する。


 皮肉にもこの恩恵は戦闘の時、道満が望んだものが発言していた。


「な、なんだこれ」


『ほう、そういう能力ですかぁ。ふむふむ、道満さん。あなたにご提案があります』


「な、なんだ」


『そんなに構えないでください。ご褒美みたいなものですよ。

あなただけを特別にランダムに迷宮の深層に送ってあげましょう。

そこでなら何度も死にかけるでしょうが強くなれます。

どうですか?』


「つよ、く…」


「ダメです!!!そんなところに道満さんを行かせられません!!

道満さん、行ってはいけません!」


 意外にも真っ先に反対したのは由那だった。


(…これから先、この世界では強さが必ず必要になる。その時今の由那のような甘さは不要になる。これから先、俺に依存するようなことになれば由那のためにもならないだろう。第一に俺は強くなりたい。そのためには不要なものは切り捨てるべきだ。俺は今まで本当の意味で人と関わったことはない。

ずっと、一人だったろう。それでいいんだ。)


道満の中で考えがまとまった。この時、道満は確かに修羅道に踏み入った。


「由那、お前は俺といたいか?」


「はい」


 その答えを聞くと道満は由那を突き放した。足腰に力が入っていなかったのか由那は簡単に地面に尻餅をついた。


「え?道満さん?」


「俺のそばに弱者はいらん。強くなることの邪魔にしかならない。

これから、世界では強さが重要な物差しとなる。強くになるにはあらゆるものを

捨てなければならない。俺がまず最初に捨てるのは仲間だ。

俺は一人の方が強くなれる。」


「そ、そんなの…」


「間違っている…か?ならば、次に会うときに俺より強くなって自分が正しいと証明して見せろ。強者が正義で弱者は・・・・・悪だ」


「あ、あ」


 道満に言い負かされてしまった由那は何も言えなくなってしまう。


「ど、道満にぃ」


 今まで黙っていた由香里がすがるように口を開くが


「弱者に興味はない」


 目を合わせることなく、見捨てられてしまいその場に座り込んでしまう。

完全に興味を無くした道満は神のもとへ向かう。


「行くぞ」


『とてもきついことを言っていましたがいいんですか?』


「どいつもこいつもくどいな、早くしろ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・殺すぞ?」


『ゾクッ(なんだと?確かに今、神の僕がたかが人間に恐怖を抱いただと)

フフフフフ、オモシロい。いいでしょう!!言ってることは正しいですしね。

嬉しいですねぇ、英雄の誕生に立ち会えるなんて。さぁ行きましょう』


 すると、道満の目の前に光のゲートが出現した。


「俺は英雄なんてもんじゃねぁ、ただの_________修羅だ」


 道満は不敵な笑みを浮かべて光の中に消えた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る