しまなみ海道に寄り道
松山市のビジネスホテルにて、6時起床。久しぶりのベットの寝心地は最高で、ぐっすり眠れた。朝食バイキングは朝6時から始まっている。これは朝の早い、お遍路さんのことを考えた時間設定だろう。顔を洗い、服を軽く整えて食べに行く。
楽しみにしていた朝食バイキングは、メニューがバラエティに富んでいて、値段以上のボリュームがあった。自社栽培の野菜が売りのようだが、それよりもご飯と味噌汁がおいしい。目一杯食べた。
食後は少しゆっくりして、準備を整え出発したのは7時半くらい。52番札所 太山寺を目指す。ホテルからの距離は5kmほどだったが、丘陵地帯を越えていくので、しっかりした坂道があった。昨日は温泉に入りさっぱりしたところなのに、もう朝から汗をかいてしまった。坂道は嫌いだ。
太山寺には一の門があった。神社の一の鳥居みたいなものか。お寺で一の門は珍しいかもと思う。ここは自転車で通り抜けて、仁王門まで。自転車はバス用駐車場に停めて、仁王門のところから歩いて行くことにする。自家用車用の駐車場がもう少し先にあったが、やはり門から歩いて行きたい。このあたりはちょっとしたこだわり。
ところが歩いてびっくり、仁王門から本堂までけっこうな距離があった。アスファルトで舗装されているので、歩きやすくはなっているが、なかなかの距離だった。最後に階段を上って本堂に到着。町中にあるので、楽に到着するかと思いきや、本日一つ目の札所からちょっと大変だった。
次の53番札所 円明寺へは2.5kmほどの距離。今度はずっと平坦道で、楽に到着。いつもと同じ手順で、お参りをしようとするが、この時ちょっと気づいたことが。手水所にある柄杓には、奉納者の名前が書かれている。この中によく見かける名前があった。尾道市の女性二人の連名。ここまでの札所で、何度も見た名前だった。巡拝しながら奉納したのだろうか。熱心な方もいるのだなぁと。
お参りを済ませると、これにて松山市の札所は終了。次の札所は今治市中心部にある。しばらくは、ひたすら走るのみだった。松山から今治への道は海岸線沿いを走るが、このあたりは風が強い。しかも向かい風で、体力の消耗が激しくなる。
途中にあった道の駅で休憩。本日は曇り空で、気温もそれほど上がらず。風も強いし、体が冷える。平地を走っているのに、下り坂を走っている時のような体の冷え方。温かいココアを飲んで、ほっと一息。
その後も向かい風に負けず、頑張って進む。今治の造船所が見えてきたところに、公園があったので、また休憩することにした。東屋のベンチに腰をかけるも、壁がなく風を防げない。あまり休憩した感じは無かった。
今治の市街地に入ると、風向きが変わり楽になってくる。代わりに市街地の道が走りにくくなってくるが、ほどなく54番札所 延命寺に到着。まずは仁王門があって、次に山門がある。この山門は今治城の城門を移設したもので、簡素な仁王門より立派な作りだった。残念ながら、その他は印象に残っていない。
次の55番札所 南光坊までは4kmほど。神社と隣り合わせにある立派な札所だった。四国霊場のうち「坊」がつくのはここだけとのことだが、何が違うのだろう。よくわからない。山門には仁王像ではなく、四天王が安置されている。これがかっこいい。久しぶりにたくさん写真を撮った。
実は44番札所 岩屋寺以降のお寺には、物足りなさを感じていた。それほどに岩屋寺が圧倒的だったということもあるが、毎日毎日お寺を訪れていると、感覚が麻痺してくる。印象的なものがあれば、それだけが頭に残り、それ以外は忘れてしまう。そういう意味でいうと、お遍路は観光ではなく、修行であるということが重要になってくる。物見遊山ではないのだ。
お参りを済ませた後は、今治のB級グルメ「焼豚玉子飯」を食べようと、発祥の店を訪れるも休業日だった。この時点で14時くらい。時間的には56番、57番くらいは回れそうだが、お遍路は一旦ここで終了。お遍路ルートからは外れるが、しまなみ海道に泊まりたいキャンプ場があり、ちょっと寄り道することにする。
しまなみ海道に向かう途中に、ちょっとインパクトの強い喫茶店風の店があった。看板には料理の写真が貼られ、「ボリューム一杯 うまい やすい」の文字が躍る。メニューはラーメンにカレー、オムライスなどなど。よく見ると焼豚玉子飯もあるようだ。それならとこちらで、ちょっと遅い昼食を食べることにする。
発祥の店の焼豚玉子飯とどう違うのか、その違いはよく分からない。白ご飯に焼き豚を敷き詰め、その上に目玉焼きをのせ、ちょっと甘めのタレをかけている。見た目からして、これぞB級グルメといったところか。味はそれなりだが、ボリュームがあるわりに500円と低価格で、お腹を満たすにはコストパフォーマンスの良い食事だった。
しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの自動車専用道路。島と島をつなぐ各橋には、原付、自転車、歩行者専用の道路が整備されていて、サイクリングロードとして人気が高い。ただ、橋の部分は車と同じ道を通るのだが、それ以外は一般道を走ることになる。この橋までの道が、それなりの坂道になっていて、ちょっとつらかったりする。
しまなみ海道は日本一周時にも走っていた。しかし徒歩・自転車・原付でしか行くことが出来ないキャンプ場、見近島キャンプ場では泊まっていない。今回はぜひ、この人気のキャンプ場で泊まってみたいと思っていた。見近島は来島海峡大橋を渡り、大島の先にある伯方大島大橋の中程を下りたところにある。原付、自転車、歩行者しかアクセスできない島。そして、そこにあるキャンプ場は、オートキャンパーのいない、交通弱者キャンパーの聖地だった。
今治側からの最初の橋、来島海峡大橋を渡るために、自転車歩行者専用道路を上っていく。これがキツい。しかし、たどり着いた先の来島海峡大橋からの眺めは最高だ。全長4000mのこの橋を走るのは、少々天気が悪くても、最高に気持ちが良い。
橋を渡り終えた後は、大島の中央を貫く道路を走ることになる。この道もまたアップダウンがあって、キツい坂道が待っている。橋に上るのにけっこうな坂道、島に着いてからまた坂道。しまなみ海道は、気持ちよい橋の上を走るイメージだが、その区間は結構短く、アップダウンの激しい道が多いのである。
キツい坂道を越えた後、下っていった先に見近島が見えてくる。伯方大島大橋へは、また上り。橋の途中に見近島への道があるので、それを下っていくとキャンプ場に到着。南光坊から25kmくらい、寄り道にしては、ちょっと遠い距離だった。
到着したのは17時くらい、キャンプ場にはすでにたくさんのテントが。適当な場所を見つけて、テントを張る。久しぶりにキャンプだ。といっても何する訳ではなく、夕食にインスタントラーメンを作り、テントの中でゆっくり過ごす。それだけだが、それが良い。波の音が心地よく響いていた。
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