第4話 人じゃない人形(ひとがた)
古文書の解読を始める。
以前のおさらいを兼ねて、最初から読み始めたため、随分と時間が掛かってしまった。
要点は以下と通りである。
・著者は人の手で人を作りたかった
・人ならざる人をホムンクルスと名付ける
・人の道に外れる行いである
・誰にも知られないように秘密裏に行う事
・材料と工程について
・成功時と失敗時の事象
・成長させるために必要なこと
・先天的に魂がないということ
・魂を入れる方法について
・能力的な面について
・寿命について
前回は「先天的に魂がないこと」までを解読していた。
現代語に訳した文はあるが、改めて最初から読みたかった。
著者が何故ホムンクルスを作りたかったのかはわからない。
人の道を外れてでも作りたかった理由があったようだ。
解読を終えるのに三日も掛かってしまった。
能力的な面は、ホムンクルスの材料で使用した時点での人の細胞の能力に依存するらしい。
現在は二五歳で二二歳頃から始めたと記憶している。
鍛錬を怠っていないから、関係ないと言えば関係ないが。
寿命については、個体差があるということだが、共通して一般的な人よりも短い。
その分成長は早い。
活動を開始してから二◯年生きるのは稀で一◯年生きれば良い方らしい。
寿命は活動開始時の成長度合には依存せず、あくまでも活動期間がベースとなる。
ただ、一◯年どころか、五年であったり三年しか活動出来ない場合もあるようだ。
前兆は他者からはわからないが本人のみ知るところとなる。
最後に一番大事な魂を入れる方法である。
人から直接移動する方法と、一旦抜き出して保管してそれから移動する方法の二つがある。
ホムンクルスの細胞を使ってもホムンクルスを作る事が可能で、これを繰り返せば理論上では永遠に生きることが可能だが、悪用されることは望まない。
著者は国にバレてしまい続けることが出来なったと記載されていた。
だから秘密裏に行えと。
国から追われて、亡命に苦労したが、研究成果を残すことは出来た。
後世で実践する者がいたならば、くれぐれも気を付けて欲しいと。
アルカナ王国で関連する法があるかは知らないが、公には出来ないな。
魂を移動する方法は「転魂の法」という。
魔法陣を用いても直接使用も可能で、今回は後者で行う。
と言うよりも、魂を抜く方法のページが無かった。
「換魂の法」についても記載されていた。
悪魔と契約すれば術式を得られるが、同じ魂では一度しか使用できない。
交換された相手が自分の為に取り戻すことは差し支えない。
身体を交換した後も代償が大きいので、勧めないと著者の談である。
さて、やるか!
古文書の記載内容に沿って、術式を組む。
イメージトレーニングを何回も行った。
失敗したら終わりだからな。
発動!
双方から光が発っせられる。
換魂の法を使われた時と同様に、痛み以外の感覚が閉ざされる。
声は出ないけど、声を出したいくらい痛い。
剣で斬られても、殴られても、声は出さないんだが、これはそんなレベルの痛みじゃない。
身体から魂を引っ剥がす痛み。
一瞬なのか長い時間なのかはわからない。
痛みが収まり、目を開けると水溶液の中にいてメルキウスが倒れていた。
成功した……!
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