第98話 メルヒオール・ゼーマン

何事もなく、門を通り、王都の中へ。


中の賑わいは凄く、俺はしみじみ田舎者だったのだなあと感じた。


子爵様が、まずは冒険者ギルドへ向かった方がいいと言うので、そちらに向かう。


まあ、門から一直線にメインストリートが広がっているようで、この真ん中を通る道にギルドの建物はあった。


その途中に、先ほど話していたメルヒオール・ゼーマンと言う商人?の言っていたゼーマン商会と言う店があったが、ギルドの建物がすぐ近くにあったので、ギルドへ先に向かう事にした。なにせあの商人より、こちらが先に王都へ入ったから、まだ到着していないだろう・・・・


そして、ギルドの建物へ。


「ようこそ冒険者ギルドへ。」


何というか・・・・受付の数が違う。


20人程の受付嬢が、中で対応をしている。


カウンターで座っている女性、歩き回って何かしている女性・・・・


うわ・・・・何というか・・・・華やかだな。

ローテートやポーテートとは大違いだ・・・・


だが・・・・女性の質は、負けてないな。

なにせヘインチェちゃんや、カチヤと言った、超絶美女が居たからな・・・・


え?王都から田舎へ流れる受付嬢も多い?


頭もそうだが、顔で選んでる?


そりゃあこれだけ女性が・・・そう、女性は中々就職できない。できない事はないが、ギルドのようなところは、結局見た目重視。


なので、美女揃いになるのだ。

たとえ貴族の子女でも例外ではなく、たとえ侯爵の娘と言えど、顔の良しあしで問答無用で選別されるのだとか。

尤も、侯爵ほどの身分になると、相手の女性・・・・つまりは受付嬢の母親になる訳だが・・・・の見た目は・・・・美女な事が多いので、生まれてくる子供の見た目は・・・・そうなのだ、既に貴族の場合、生まれから差が付くのだ・・・・


だから、貴族の娘がギルドの受付になる確率は、実はかなり高い。


身分で採用していないと言うが、そもそも美男美女の生まれる確率が高いからだ。


何と理不尽な世界なんだ・・・・

あ、だがその理不尽な世界の、そっち側に俺がなる訳で・・・・


ああ、脱線したな。


その中で・・・・群を抜いて飛び切りの美女が対応してくれる。

しかも3人だ。


どうやら姉妹のようだ。顔が似ている。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


そう聞いてくる女性は・・・・何やら違和感を覚える。


その所作が、普通の人とは違うのに気が付いたのだ。


「・・・・国王陛下に呼ばれて王都へやって来たのだが・・・・あまりにも早く着き過ぎたので・・・・城へ我々の到着と、謁見の日時を調整してほしい・・・・」


子爵様がポーテートのギルドで貰った紙を受付嬢に渡す。


さっと目を通す受付嬢。


「ポーテートでの連絡ですね・・・こちらへどうぞ。リーサンネ、ローシェ、貴女達の見立て通りですわ。ローシェ、この方々をお連れしなさい。リーサンネは何か食べ物と飲み物を用意し、持って行ってそのまま同席しなさい。私は、先に連絡をしてきます。」


「「はい、フェリーネ姉様!」」


最初の受付の女性は、一礼して去っていく。

そして・・・・


「私ローシェと申します。フェリーネ姉様の申しつけに従い、皆様方をお連れしたいと存じます。宜しければ奥のお部屋へご案内いたします。」


先程の女性と共に、やはり何か所作が違う。


「・・・・では、お願いする。」


子爵様はそう言い、俺達は奥の部屋に連れていかれる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る