第86話 ダンジョン踏破 その3

「どどどどうするんですか?」


ヘインチェちゃんはビビっているようだ。


ドラゴンを仕留める事ができるのに、何を今更・・・・?


「まあ、このまま進まないと、どうにもならんだろう?最悪95層まで戻るのみ、だ。」


そのまま進む。


「何か扉があるな。気を付けろよ・・・・」


エリーザベトさんが警戒して言ってくれる。


俺はそのまま進み・・・・扉の近くまで来たので、どうするか確認しようと思い、振り返る。


「なあ、どうする・・・・?あ・・・あれ?おーい・・・どこ行った・・・・?」



振り返ると、誰もいなくなっていた。


え?まさかの通路自体が罠だった?


俺がうろたえていると・・・・



【ようこそおいで下さいました。ダンジョンの管理を任されているホムンクルス非戦闘型タイプ φファイ229型でございます。ダンジョン設立以来、初の来訪者となります。】


へ?何だこの声は?そう思うと、いきなり目の前に女性が現れた。

見た所・・・・エリーザベトさんより少し年上か?

25歳前後に見える。


エリーザベトさんは言ってくれないが、彼女は22歳。俺より少し年上。


うーん・・・・変な色気があるなこの女性。


スラっとした体躯に人形のような、人?かなりの美人だ。



【ご心配なさらなくても、同行者の方は全員無事です。今は・・・失礼、ランナル様ですね。この空間には可也レベルが高くないと耐える事が出来かねますので、レベル12以上のランナル様のみをお連れ致しました。】


うん?

俺はいつの間にかレベル12になっていたのか?


「俺はレベル12なのか?」


【ランナル様の精神に過度の負荷が見られます。これを飲んでお鎮め下さい。それと、ただいまダンジョンは未曽有の不具合が発生しておりまして、先ほどのボス部屋のドラゴン、ダメージを与えた数値の多い人ほど経験値が多く入りまして、ランナル様のお連れ様は殆どとどめを刺したのみですので、さほど経験値が入っておりません。ですが、ランナル様はほぼすべてのドラゴンにいきなり致命傷を与えましたので、その経験値がかなり入り、レベル9から12まで一気に上がりました。】



俺にはレベルの上がり方が分からないのだが、

あれ?8じゃなかったか?


まあいいや・・・後でカチヤかヘインチェちゃんに聞いとこう。



【ランナル様の精神の安定を確認。】


「で・・・・あんた、俺に何かしてほしいのか?」


【先ほどもご説明申し上げましたが、現在ダンジョンは未曽有の不具合が発生しておりまして、ダンジョンの管理者の私にはシステムの修正はできません。それと、この扉の向こうには、ランナル様方が使われる換金ボックスなる装置がありますが、私には扱う権限が無く、システムの管理者である”神”と交信ができないのです。そこで、ランナル様に”神”と交信していただき、システムの不具合の修正を依頼してほしいのです。】


・・・あれか?ダンジョンの不具合・・・・これで直るのか?


「・・・・まあわかった・・・・やってみる。案内してくれないか?」


【いえ・・・・もうあの扉は開きますので・・・・お連れ様とお越しくださいまし。扉の向こうには、他に魔法陣もございますので。】


そう言って何だっけ?ファイさんと言ったか?何たら数値も言ってたが・・・・


気が付けば周りにクランメンバーがいた・・・・



「あ!驚きました!突然ランナルさん消えちゃうんだもん・・・・」


「・・・・扉だ・・・・扉を開けるぞ。」


「いや、あれは開かんぞ。君が向こうに行ってしまったのではないかと思い、やってみたが、びくともしなかったからな。」


「今なら開く。そう言ってた。」


「え?どういう意味ですか?」


カチヤが聞いてくるが・・・・俺は扉を・・・・開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る