第70話 ジギスヴァルト・ピュヒョ子爵

「なあ・・・・カチヤって貴族なのか?」


俺は朝起きて、カチヤに聞いた。


何やら昨日は色々ありすぎて、そこまで頭が回らなかったからだ。


「ええと、私ではなく、父ですよ?」


「つまりは子爵の娘なのだな?」


エリーザベトさんがカチヤに聞く。


「そうです。もし宜しかったら、父に会ってみますか?」


ええ?いきなり?


「心の準備が・・・・」


「ええと、大丈夫ですよ?父はこれと思う男性が現れたら、連れてきなさい。カチヤが選んだのなら、間違いないだろうからね。って言ってますから。それより、父の後ろ盾があれば、色々便利ですよ?」


何が便利なんだ?


「いいのか?子爵と言えば、この辺りでは一番の実力者なのだろう?」


「エリーザベトさん、それはきっとお互い様なのですよ?実力のある冒険者やハンターは、どの貴族、商人も恩を売って、何かの際には使いたいですからね。なので、その後ろ盾になるのは問題ないのです。」


・・・・よく分からんが・・・・娘ををやるから、役に立て?違うか?ちょっと違う・・・・うう・・・わからん。


「いいじゃないですか?貴族とお近づきになれば、変な輩もおいそれとは近づいてきませんよ?」


「そんなもんか?ヘインチェちゃん。」


「そうですよ・・・・」


すると、執事?が何やら近づいてきて、カチヤに何か言っている。


「え?父が戻ってきているのですか?」


「外の魔物が居なくなったので、戻ってきたのでしょう。本宅から、こちらにもう直ぐやって来るようです。」


「わかりました。では・・・・そうですね、きっと私とランナルさんの事を聞いたのでしょう。折角です、父にランナルさんと会ってもらいましょう。」


「畏まりました。それと、ギルド長が、褒賞の事で、何やら話があるそうなので、後で顔を出すようにと伝言を承っております。」


「では、父と会ってもらった後に向かいましょう。そう言う訳で、ランナルさん、父と会って下さいね?」


「えええ?俺・・・・何かされるのか?」


「とんでもないですよ!にこやかな会談になる筈です。」


・・・・

・・・

・・


「わしがジギスヴァルト・ピュヒョ、子爵をやっておる。其方が噂のランナル殿か?」


「ああ・・・俺がランナルだ。貴族様なんて縁が無かったから、変な態度だったら悪いが、そう言った事は全く知らねえもんでな。何せ元はたかがNハンターだ。ま、所謂最底辺の冒険者なわけだ!」


「うははは!いいぞそれで!で、どうなんだ?うちの娘は・・・・どうやらうちの娘が君に惚れたらしいじゃないか!」


「お父様!」


「まあそう言うな。最底辺と言いながら、かなりの高レベル・・・・む?ステータスは・・・・レベルの割には・・・・・あん?何だこの運の良さは?」


なんだ?俺の事鑑定してんのか?

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