第38話 親方と、チームとの別れ  その2

「何だ?」


「親方、それにみんな、俺は運よく底辺から抜け出せた。だからと言って、皆にもどうぞとは言えない。何故かといえば、自身の力で手に入れたのでなければ、ついつい無謀な事をして、結果命を落とすんじゃないかと考えたからだ。」


俺はそう言ってみる。


「・・・・確かにな・・・・てめえの装備、それをくれとは言わねえが、もう少しレアリティの低い・・・・俺らからしたらトンデモなのを持ってるんだろう?それを、てめえが俺らに渡したとして、それが俺らの為になるかって事か・・・・そりゃあ分らんな。下手をすれば、もっとくれ!ってなるしな。それに・・・・てめえの言う通り、実力もねえのに、突然身の丈に合わねえ装備を渡され、過信し、実力もねえのに下層なんぞに挑めば・・・・死ぬかもな。」


親方は分ってくれたようだ。


「分かってくれて嬉しいよ。俺も皆に良い装備渡したいんだが、それが結局皆の為にならなかったんじゃあな。」


「だが、何か提案があるんだろう?言ってみろ。」


「ああ・・・・きっとこのままじゃ皆最下層から抜けだせない。だから・・・・折角俺との縁があるんだから・・・・チャンスがあればと思ったんだ。」


「具体的には?」


「装備は渡せないが、貸すことはできる。その装備で、あのダンジョンなら下層でも十分やっていけるはずだ。だからな・・・・少しの間、装備をレンタルしようかと思ってる。」


「レンタル?」


「ああ。貸すだけだ。それも無償じゃあ棚ぼたで皆の為にならねえ。だからな、装備を貸し・・・・そうだな・・・俺がポーテートに行ってる間だけだ。その間にチームで下層に挑んで、ドロップアイテムや宝箱をゲットできれば、そのアイテムは、皆の物になる。そうすれば・・・・負の連鎖から抜け出せるんじゃないかってな。」


「ちょっと待てくれ。確かにいい話だが・・・・そんな事できるのか?」


「俺が実際に下層で1人で戦った時のと同じ装備なら問題ないだろう。そのかわり・・・・代金は高いぞ?」


「少し話をさせてくれ・・・・」


チームで話し合いをしている。


暫く待つと・・・・


「なあ、少してめえの思ってるのとは違うが、どうだ、てめえこれからポーテートに向かうんだろう?よかったら俺らも、てめえから借りる装備と共に、一緒に行ってはどうだ?」


「え?みんなが来るのか?」


「ああ・・・・駄目か?」


「いや・・・駄目じゃないが・・・・かなり危険じゃないのか?」


「だが!そんな・・・立派な装備借りて、俺らだけでうまくいくとは思えねえ。なら、てめえと一緒に居れば、俺らの事を見てられるだろ?」


・・・・無謀な事をしそうなら止められるか・・・・

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