天才の証明(8/8)
アルバートによって試合の終了が
それで力が抜けたリアは、その場にペタンと
「やった……勝ったんだ……私……」
遠くで
その歓声は、ほとんどがリアではなく、ケントとオルフェスの戦いに向けてのものだったが、中にはリアの
歓声と、心地よい
「やったな!リア!」
「ティナちゃん……うん、私、勝ったよ……!」
マルティナの手を
「おっととと!あ、あはは……まだ
それが
「――ふざけ……ないでよ……!」
そこへ、
「あの天才に教えてもらったから、待機詠唱もできるようになったってわけ……?本当に、本当にふざけるなッ……!私だって……私だって……!ケント・バーレスと同じ班になれてさえいれば……!!」
痺れて立ち上がれない
顔だけでリアの方を向き、
仲間を撃つまでしたというのに、自分は落ちこぼれと呼ばれた少女に勝てなかった。こんな
「……………」
その様子を見て、リアは
「……ねぇ」
「……何よ。私が動けないからって、このあいだの
リアは首を横に振る。
「……ケント君と同じ班になったから私は変われた。それは本当。でもね、変わる
なるべくエリスと視線を近くするためにしゃがむ。立場を対等にするように。
リアとエリス。共にシファノス陸軍学校魔法科二年。人種は
変わろうと願い、努力することを
「もしね、あなたが本気に変わりたいって願うなら、ケント君に
「――え?」
思いもよらない
「私達は違う班だけど、敵じゃないよ。だから、ケント君に何か教えてほしいなら、直接聞きにきたらいいじゃない。ケント君ってばいつも無表情だけど、本当はとても面倒見がよくて
そう言って、リアは笑った。
「そうだ!ケントは!?」
はたとマルティナが気づいて
「ぐっ……!!」
二人が見守る中、ケントが立ち上がろうとしていた。
「ぬぁあ……!!」
オルフェスも必死の
しかし――
「がっ……」
一方でケントは、よろめきつつもしっかりと二本の
その右手にうっすらと
「クソ……クソクソクソクソォッ!!」
自身の動かない
魔法の連続使用の
「お前に……分かるか……!?デモリスでありながら、人間のお前に後れをとっていると
持てる者にも、持てる者としての
なぜオルフェスがケントを目の
常にヒトの上に立つ人種、生まれながらの天才、デモリス。彼らは常に一番であることを求められる。それが当然であり、それ以外はあり得ないのだ。だからこそオルフェスはケントを倒すことに
「さぁ、な……デモリスの
オルフェスの
「そんなことをしてみろ……お前を殺してやる……!!」
「だったら、
ギリリと
ケントはちらりとオルフェスの方とは違う方向に視線を向けてから、続けた。
「そして、努力で才能は
オルフェスは負けた。だからこそ、認めなければ前には進めない。そうでなければケントを越えることはできない。
「
オルフェスがケントに負けたくないと
それでも努力は無意味であると彼が
「人間だって、努力すれば、デモリスに勝てるんだ……その逆だって……当然……」
そこまで口にしたところで、ケントは糸が切れたように倒れ込んだ。
意識を失ったケントだったが、その
「――まったく。模擬戦って言ってんのにガチバトルしちゃってさ。しかもなんかやたら熱いこと言っちゃって。普段からそれぐらい
ケントの
「あーもう若い!若いっていいなー!って私もまだまだ若いけどー!ねぇ聞いてる?ツッコミ待ちだよ?」
そう言ってケントの
「う……」
「ほら、君に伝えたいことがある女の子が二人も!よっモテ男!」
フランツィスカの肩を
一人は
一人は
「勝ったよ……!ケント君……!」
涙ぐむ声で、リアが言う。
「ケントのおかげだ。本当に、ありがとう!」
その二人に対して、ケントは、
「――だから、言っただろ?君達ならできるって」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます