天才の証明(6/8)
(十分距離は、とれたか……)
二つ魔法を
「シュル/ペディム/エファ――」
攻撃の手を
「〈
「〈
「〈
再びの光の槍。しかし今度は
「〈
光の槍を
だが――
「〈
「――ッ!」
もはや魔法による防御はおろか回避さえも間に合わない。
二発連続の待機詠唱。オルフェスもまた、ケントと同じく待機詠唱を二つ保持できるのだ。魔法の発動速度もほぼ同じ。つまり魔法の撃ち合いになれば先に詠唱を開始した方が有利ということだ。
続けざまの攻撃に
「フハハッ!見るがいい!やはり成績評価などというものではなく、真に対等な条件で戦えば俺の方が
どうやらオルフェスは最初に一撃を与えられたことで気をよくしているらしい。もっとも、笑っているとはいってもその
ケントは目を細めて呼吸を
「だが人間でデモリスの俺に
ぴくり、とケントが無表情の一角を
「――どうした?気に
今度は、はっきりと、ケントはその
この感情を、なんと
「……人間は、デモリスには勝てない。そこには、生まれ持った才能という、大きな
「なんだ、分かってるじゃないか。てっきりそれが分かっていないから
オルフェスがケントを敵視している最大の
人間の
ケントが
だがケント自身が人種の
「――だったら」
「?」
木剣を大上段に
魔戦科始まって以来の天才、いつも無表情な彼は今、
「僕がお前を倒せば、努力で才能を
「〈
魔法が発動する。
「ッ!?」
まったく想定外の
回避は不可能。その上
「うおおおおッ!!」
バコォンッ!!
一方の受け止めたオルフェスの木剣は分かたれてはいないもののばっくりと折れてしまいくの字に曲がってしまっていた。これではもはや使い物になるまい。
「おおおお!!」
それでもケントの突撃は止まらない。木剣の
「グゥッ!?」
双方剣を
「ふざけ――!」
ゴツンッ
「グアァァ……」
お互い両手を
「そ、双方そこまでですッ!これは模擬戦です!
あまりに
だが、白熱した二人に声だけの制止が届くはずもなく。
もう一発、と狙いを定めたケントに、オルフェスは、
「俺を……見下すなァッ!!」
「ツッ!?」
第三者からは何が起こったのかすぐに理解できなかっただろう。突然顔を
オルフェスから距離を取り、ケントは自分の手の平を見やった。
両の手の平の中心には、
息を
「――“
それは魔力の
その
この技があるからこそ、デモリスと
その上デモリスは常にヒトの上に立ってきた人種、握手など、対等の存在になろうとするものを
だからこそ、その技は“結ばれぬ手”と呼ばれるのだ。
かつて魔族と呼ばれた種族、その
「そこまでだよ」
相対する二人の間に普段のおどけた調子をまるで感じさせない様子の魔戦科担任教師が割って入った。
「“結ばれぬ手”、使っていいなんて言ってないよね?それは相手の命を
フランツィスカの
「ケント君の傷の手当ても必要だし、二人ともここで退場。オルフェス君への
「待って、ください……!」
ケントは血の
「まだちゃんと決着がついていません!続けさせてくださいッ!」
模擬戦、成績。そんなことはもう頭から抜け落ちてしまった。
熱くなっていたのは、ケントも同じ。どのみち他のチームメイトとの連携を
そしてはたと気付く。まだ近くから戦闘の音が
ここで早々に自分だけが
「僕は……
握りしめた拳がズキリと痛む。
デモリスに大敗を
「人間
オルフェスもこの勝負を続けたい理由があった。それはただの
「……………はぁ」
両手をひらひらと振って後ろに下がる。
「次危険行為が見られたら
右手を前へ。
それに
もはや
手の平の痛みも、風にそよぐ
そして――
「「〈
同時に放たれた同威力の魔法が
「〈
「〈
横
「〈
「〈
押し
――可能だが、通常は決してしない無茶。
魔力の量には多いに個人差がある。
「〈
「〈
ケントはその並大抵ではない労力を続けてきた。
それこそ、先天的に高い魔力量を
「〈
「〈
もはやどちらが上かなど
オルフェスの
プツン
ケントの鼻から
一瞬前に倒れそうになった
いったいどれほど魔法を撃ったのかもう分からない。数えられるだけの精神の
もう、限界が近い。
「「〈
「「――ッ!!」」
お
そして――
ガッ!!
双方の拳が双方の
同時に、その
「そこまで!勝者――」
見物している者達には、ケントとオルフェスの戦いの
だが、二人の戦いに決して
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます