第三章
僕の方こそ(1/4)
まだ小鳥達も眠りについている時間帯。朝と呼ぶには少し早く、黒々とした夜の
「……………ん」
眠っていた、というより
彼の指先が一瞬
その蒼い光に照らされた
なるべく音を立てないように二段ベッドの下段から抜け出したケントは、淡い
手早く
階層ごとに設置された水道から水を出し、顔を
学生寮は階層ごとに学年が分けられている。二年であるケントは二階に自室があった。地下水から引いているこの水道の水は魔力によって内圧を高められたポンプで二階まで押し出されているのだ。照明にしろ水道にしろ、
肩にかけたタオルで顔を
そしてケントは階下へと向かい、寮の外へ出た。それを
学校の敷地内に点々と
(今日は……〈
清々しかったケントの表情が一転、いつもの無表情へととって変わる。頭の中で魔法文字を思い
準備運動と魔法の
ただ一人を
負荷をかけ過ぎないような
おおよそ一周を走り終えた
学校の敷地を魔法を
起き抜けに顔を洗った水道とまったく同じ位置で、うっすらと
眠たげな眼を
「お先に」
と、いつもまったく同じ言葉を残して部屋から出ていく後ろ姿をルームメイト達は特に興味もなく
洗濯物を寮指定の場所に
「毎朝早起きねぇ。無理して身体を壊すんじゃないよ」
「はい、気を付けます」
代わり映えのしない
まだ誰もいない静かな魔戦科二年の教室に
毎日、毎日。
誰にも知られることなく。
「…………ん」
ケントが
すると
(まだまだ訓練が足りないな……)
まだ朝も早いというのに、すでにかなりの時間を
世界に音が戻ったことで、周囲の会話が
(二回目の他学科合同小隊演習、今日か)
すでに始業まであと
この一週間、リアとマルティナの二人に自分なりに努力の仕方の教えた。そして二人はそれを
たった一週間、されど一週間。本当に彼女らが真剣にそれに取り組んで、多くはない
あとは彼女達
準備に費やすことのできた時間はあまりにも短い。だか、それでもケントの見ている前では彼女達はよくやった。落ちこぼれと呼ばれる自分を変えようと精いっぱい努力していた。だからこそ、ケントは特別不安になることはなかった。だから今の今まで小隊演習が今日であることを忘れていた。
彼女達は変わるにたる努力をした。一週間前とは違う。
ケントにはその確信があった。
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