第6話 モモはすごいなぁ

「おっはよ〜スズ‼︎」

「あ、おはようモモ」

 登校中に後ろから肩をたたかれてびっくりしたけど相手はモモでした。

「いや〜昨日は勉強頑張ってたね〜。でもまさかスズが勉強のことで悩んでたなんてね。驚いちゃった。私じゃ勉強については頼りないかもだけど、他のことなら相談してね! なんでもしてね‼︎ どんどんしてね‼︎ いつでもいいから‼︎」

 モモの押しはいつも以上だったけど、嬉しいな。モモと友達でよかった。ユキさんは……私のことどう思ってるんだろう?

「あ、そうだスズ。さっきスズに会う前にユキ先輩にあったんだけど、今日も図書室で勉強するんだって? がんばるねぇ」

 そっか。今日もユキさんに勉強教えてもらうんだっけ。大丈夫かなぁ? もしユキさんに嫌われてたら……

 モモと話しながら考え事をしているとすぐに教室に着きました。

「ねぇ、モモ。私ユキさんに嫌われたりしてないかなぁ? 大丈夫かなぁ?」

「ん〜? スズ、ユキ先輩に嫌われるようなことしたの?」

「え? いや、そんなことはしてない、と思うけど……ほら、そういうのって人それぞれでしょ? 昨日帰る前とかユキさん、なんかちょっと雰囲気違ったし……」

 あ〜。スズの人を見る目ってそっちの方ばっかりに敏感だからなぁ。自分に向けられた好感は分からなくても赤の他人に向けられた悪感は分かっちゃうみたいだしなぁ。

「ん〜、私が見る分にはユキ先輩がスズのこと好きっていうのはあっても嫌いっていうことは万が一にも無いと思うなぁ」

「そうだといいんだけど……」

「も〜、スズはもっと自分に自信持って‼︎ スズはいい子なんだから。そんな簡単に人に嫌われたりしないって。私が保証する‼︎」

 モモに言われるとそうなのかもって思えてくる。やっぱりモモはすごいなぁ。


 私は休憩時間のたびに、ほんとに大丈夫かなぁとか、でもとか、やっぱりとか言っていたのでそれをなぐさめ、元気付けてくれたモモはちょっと疲れてるみたいでした。モモごめんね。


「やっと授業終わった〜。スズ〜、図書室行くんでしょ?」

 あわわわわ。とうとう放課後になっちゃった。今日一日モモに励まされてたけど、いざってなるとやっぱり……うんん。モモが大丈夫って言ってくれてるもん。きっと大丈夫。でも……

「モモ……一緒にいこう」

 スズのその顔は反則的に可愛くてその顔でお願い事されたら他に何があろうと絶対ことわれない。ユキ先輩もきっとそうなるだろうなぁ。でもでもスズのこんなところは独り占めにしたいっ。スズのこんな顔見られる私ってなんて幸せなんだろう。唐突にやってくるスズのちょっと頼りなくて心細そうな、でも私に絶対の信頼を置いてくれてることが分かるその顔……いつまでも見ていたいっ。

「もちろん。最初から私も行くつもりだよ」

 スズが私のことを頼ってくれる間は手放したりしないからね。まぁスズが私から離れていくところなんて想像できないけど。

「じゃっ、行こっか?」

「……うん」

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