6#風船龍を倒せ?!

 ぷくぅ~~~~~~~!!


 ぷくぅ~~~~~~~!!



 「僕達・・・風船みたいになっちゃった!!」


 「つーか、風船体だにゃーーー!!」


 いきなり身体に空気が入り、どんどん膨らんで膨らましたてな風船のような艶の身体になった太膨猫のパンクと長毛猫のチャイは、顔を見合わせて驚いた。


 大きな耳、


 大きな鼻、


 大きな牙。


 そして、鋭い爪。


 「虎だーーー!!」


 「虎になっちゃった!!」


 パンパンに膨らみきった太膨猫パンクと長髪猫チャイは、巨大な虎に変化していたのだ。


 「ほほお。『龍』も『虎』か。1対2でこっちが不利ってか?ではこれはどうかな?」


 風船龍は、何十個も萎んだゴム風船を口にくわえると大きく息を吸い込んで一気に、



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~~!!



 といっぺんに息を吹き込んで膨らませた。


 「うにゃーーー!!」


 「風船龍が・・・分身した?!つーか、分散した?!」


 「どーだ!!これで君達は勝てない!!

 量よ!!量!!『量』を増やせばが勝つんだよ!!」


 風船龍はどや顔をして間もなく、「行け!!」と困惑する2匹の風船虎に向かって指差した。


 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



 「うにゃー卑怯だにゃーーー!!」


 「どうすればいいんにゃ!!」


 無数の風船龍は、2匹の風船虎の周りをみるみるうちに取り囲んだ。


 「『量』だよ『量』!!封じ込めろ!!」


 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



 取り囲んだ無数の風船龍は、一斉に中心の2匹の風船虎に一気に向かっていった。



 むぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ!!




 「くっ!!苦しいにゃーー!!」


 「つ!潰れるにゃーーー!!密!!密にゃーーー!!」



 むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅ!!




 「どうだ!!猫ども!!題して『3密大作戦』!!

 さあ!!どうする?!

 さあ、この風船を爪で割ろうとしてるね?」 


 「にゃ!」「図星にゃ?」


 「この風船の中身は私の吐息の新型ウイルスだ・・・割ったらどうなるか・・・ふふふふふふ!!」


 「息苦しい!!」「窒息するにゃ!!」



むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅ!!



 「そうだにゃ!!」


 パンクは、チャイにヒソヒソと耳打ちした。


 「せーー、」「の!!」


 風船虎のパンクとチャイは、徐に萎んだゴム風船を取り出して、口で膨らませ始めた。




 ぷ~~~~~~~~~~~~!!


 ぷ~~~~~~~~~~~~!!




 むぎゅーーーーーー!!


 ぼむん!!



 2匹の風船虎の膨らませた風船の圧力で、取り囲んだ無数の風船龍は、一気にはじけるように離散した。


 「どうだにゃ!!」


 「これが、題して『ソーシャルディスタンス大作戦』だにゃ!!」


 「よくもよくもよくもよくも!!」


 風船龍は何を思ったか、更に萎んだ風船を束で口にくわえると一気に、



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!



 と息を入れて膨らませた。


 「うにゃーーーー!!もっと風船龍が増えたにゃ!!」


 「あっ!!わしらが膨らませた風船が、わしらと同じ虎の形に膨らんでる!!」


 「これって・・・これも分身?!」


 「もっと!!もっと!!こっちも風船を膨らますにゃ!!」 


 

 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!



 風船龍と2匹の風船虎は、どんどんどんどんお互いの形に膨らむゴム風船を膨らませ、どんどんお互いの分身をどんどんどんどんどんどん増やしていった。



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!



 「それにしても風船多すぎ・・・」


 「それって『密』じゃん?!」


 「『密』・・・怖い・・・」


 「膨らますの・・・」


 「怖いよ・・・」


 「この風船が割れれば・・・」


 「風船多すぎて、ここがきっつきつになってる!!」


 「何個風船を膨らませばいいんにゃ?!」


 「もう無理すぎて爆発するにゃーーー?!」



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!


 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~!!



 むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅむぎゅ!!



 ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!ばぁーーーーーん!!・・・




 「『密』になりすぎて!!」


 「全部弾けて爆発したにゃーーーー!!」



 太膨猫のパンクと長毛猫のチャイは、誘導破裂した風船の風圧で吹っ飛ばされて、『向こうの国』から元来た国に飛んで戻ってきてしまった・・・




 ・・・・・・


 ・・・・・・


 ・・・・・・



 ・・・・・・









 

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