5#2匹の看板猫VS風船龍
ぷしゅ~~~~~~・・・
ぷしゅ~~~~~~・・・
すたっ!
「にゃっと!!」
どてっ!
「うにゃっ!!」
すっかり萎んだ大きな風船から着地した、長毛猫のチャイに対し、太膨猫のパンクはデブ過ぎて腹這いにズッコケて着地した。
「大丈夫?パンクちゃん。ダイエットしなきゃね!もっと身体の空気を抜いて萎ませられなかったの?」
「私は風船じゃないっわよっ!!」
笑い転げてからかうチャイに、パンクは失礼そうに膨れた。
パンクとチャイは、辺りに漂う不穏な空気の匂いを嗅いだ。
「ぶっ!!」
「これは!」
2匹は、余りの毒々しい鼻を肉球で塞いだ。
「そうだ!!こんな時に!!パンクちゃん『猫用マスク』!これで新型ウイルスはシャットダウンだよ!!」
「サンキュ!チャイ!しっかし・・・なんじゃこりゃこの臭さ?」
「パンクちゃん!これが・・・私達の周辺をパンデミックにしている、『風船龍』の吐息よ!!
私達は、『となりの国』にたどり着いたのよ!!」
「これが・・・」
パンクとチャイは、肉球で鼻を塞いだままでこの禍々しい『となりの国』の中を歩いていった。
むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅっ、
「何だか、ゴムの上を歩いているみたいに、地面がプニプニしている・・・」
「これ・・・地面じゃないわ?」
「ということは・・・」「うにゃ?」
ぷうううううう~~~~~~~~~~!!
「膨らんでいく巨大風船の!!」
「上にゃ!!」
パンクとチャイは、慌てて膨らんでいく超巨大風船から降り立った。
すたっ!
「にゃっと!!」
どてっ!
「うにゃっ!!」
「パンクちゃん・・・また着地失敗?!
あんた、本当に肉団子ねぇ。水風船かもね?!」
「チャイちゃん!!あんたねぇ!!有名看板猫過ぎて世間にチヤホヤされてるから、性格も傲慢なのね!!」
「パンクちゃん!あんたこそこの風船身体が人間に「可愛い!可愛い!」って、いい気になって調子に乗って、どんどんどんブクブクブクブクと・・・」
「やるの?!」
「やる気なの?!」
「フーーーーーッ!!」「フーーーーーッ!!」
遂に、パンクとチャイは家を逆立てて、お互い威嚇していがみ合ってしまった。
ぷうううううう~~~~~~~~!!
「やばーーーーーーっ!!」
「うにゃぁぁぁ~~~~~!!」
2匹はすっかり忘れていた。
今さっき降り立った超巨大風船が、更に膨らみ続けていたことを・・・
「むぎゅーーーーーーーーっ!!」
「くっ・・・苦しいにゃ!!」
遂に、膨らみ続ける超巨大風船がパンクとチャイを覆うように押し潰してしまった。
しゅ~~~~~~~~~!!
「ゴムが限界になった空気の漏れ・・・」
「まさか・・・」
ぼおぉぉぉーーーーーーーーーーん!!
「にゃーーーーーーーっ!!」
「うにゃぁーーーーーーっ!!」
パンクとチャイは、とてつもなくどでかい破裂音を轟かせて割れた超巨大風船の風圧で、吹き飛ばされてしまった。
「何・・・この風船の中の・・・変な匂い・・・」
「やば!!この風船の中身はウイルスだ!!鼻を塞いで!!」
パンクとチャイは、慌てて肉球で鼻を塞いで、割れた巨大風船の先へ走っていった。
「この風船を膨らませた吹き口の先が、『風船龍』よー!!」
「ということは・・・こうやって、『風船龍』はこの風船を口で膨らませて、私達の街へ、忌々しいウイルスをばら蒔いてるんだわ!!」
2匹は、割れた超巨大風船の破片を手繰って『風船龍』の有りかを探って走っていった。
「パンク!あれを見て!!」
「あれ・・・あーーーーーっ!!今まで気付かなかったけど・・・これは!!」
この場所の辺り1面に、色とりどりカラフルなゴム風船が巨大風船から小さな水風船まで大小問わず、まるでお花畑のように敷き詰められていた。
「わーーーーーーーーーぉ!!」
太膨猫のパンクは、思わず感嘆した。
「それにしてもさあ、風船の山々跨いで歩くの歩きづらいし、転んだり爪引っ掻けたら割れちゃうし・・・」
長毛猫のチャイは、爪を引っ込めて耳を塞ぎながら恐る恐る、きゅっ!きゅっ!と風船同士が擦れる音にビビリながら風船を掻き分けて歩いた。
「君が歩いたら、重みで風船がパンクして、本当の『パンク』なんちゃって!!」
「チャイ!あんただって、長髪が風船の静電気で引っ付いてボッサボサじゃん!!」
「なん・・・だってニャ・・・」
むぎゅっ!!
パァーーーーーーーーン!!パン!!パン!!パァーーーーーーーーン!!
「にゃっ!!」「うにゃぁっ!!」
パンクとチャイが取っ組み合いになったとたん、風船が何個も下敷きになって破裂した音に仰天した2匹は思わず風船の畑じゅうを走り回った。
パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!
「にゃーっ!!」「うにゃぁーっ!!」
パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!パァーーーーーーーーン!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「パンク!うしろうしろ!」
「何にゃ?!」
2匹が振り向くと、まるで全身が膨らましたてのゴム風船のように輝く巨大な風船龍がこっちを見て仁王立ちしていた。
「お前らーーー!!何処から侵入してきたんだぁーーーーーー!!」
「だ・・・だ・・・」
「だっふんだ!!」
2匹の猫は、緊張の余り訳の解らない言葉を口走った。
その時だった。
ぷくぅ~~~~~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~~~~~!!
「むうううっ!!」
「むぎゅううううっ!!」
突然、2匹の猫はまるでゴム風船に空気が入っていくようにどんどんどんどん膨らんでいった。
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