第21話腕試しの迷宮へ
迷宮で死にかけたことによって、オレは新たな力を入手。
神聖魔法の使い手マリアの呪いを解き、パーティーを組む。
一気にレベル14まで上昇、中級職の【軽剣士】にクラスアップにも成功する。
◇
マリアと腕試しに、次の中級迷宮にやってきた。
準備とステータス確認をして、迷宮の中を進んでいく。
陣形は前と同じでオレで、後方がマリア。
前方のオレは、常に【探知レーダー】を発動。
魔物の位置を把握して、迷宮内を進んでいく。
「ん? マリア、止まって。ここに罠がある」
そんな中で、新しい盗賊スキルが活躍。
罠を発見していく。
「えっ、本当ですか? 普通の通路に見えるけど?」
「ちょっと待っていてね、解除するから。はい、終わり」
「本当でした。凄いです、ハリト君」
隠れさていた罠を、事前に発見。
無事に解除していく。
また魔物を発見した時は、前と同じく隠密と戦闘系のスキルが活躍。
「ん……この先に魔物がいる。オレが隠密で近づいて、先制攻撃する。バックアップを他のむね」
「はい、任せてください」
音の無く先制攻撃をしかけられる。
隠密のスキルは地味だが、かなり有能。戦闘以外でも役立つ。
あとマリアの聖魔法も、前回より強力になっていた。
「ハリト君、援護射撃をいきます……【
呪いが解呪されたことにより、スキルレベルが正常化。
あとオレのスキルアップ操作によって、スキルアップ。
前回より合計で二段階上の、聖魔法を使えるようになったのだ。
「いやー、マリアの新しい聖魔法、凄い威力だね」
「これも全てハリト君のお蔭です」
謙遜しているが実際のところ、マリアの聖魔法の才能は凄い。
前に彼女と同レベルの、聖魔法を見たことがある。
だがマリアはその冒険者よりも、二段階くらい上。
やはり聖魔法の才能があるのであろう。
(やっぱり固有の《聖女の欠片》の影響が、あるのかな?)
前の彼女に《聖女の欠片》のことを聞いてみた。
だが本人は首を傾げていた。
たぶん固有は自覚がないのだろう。
「ん? どうかしましたか、ハリト君?」
「あ、なんもでない。さぁ、先に進もう」
この件に関しては、しばらくは放置しておく。
何しろ固有に関しては、謎な部分が多い。
オレの固有も含めて、気長に調べていこう。
そんな互いのレベルアップを、確認しながら迷宮を更に進んでいく。
「ん? ここにも罠がある、気を付けて」
「分かりました。それにしてもハリト君、罠を発見するのが、凄すぎませんか? まだスキルレベル2ですよね?」
「うん、そうだけど。それがどうしたの?」
「前に聞いた話では、この中級迷宮【盗賊の隠し迷宮】は、盗賊スキルレベル4以上ないと、苦労するはずなんです」
「えっ、本当⁉」
ちょっとビックリした。
でも確かに異常なくらい、オレは罠を発見している。
「もしかしてハリト君の固有の《観察眼》が、影響しているのかも? 補助になっているとか?」
「ああ、なるほど。その可能性もあるね」
マリアに指摘されて、気が付く。
たしかにオレの《観察眼》には、色んな効果がある。
その一つで盗賊系のスキルを、向上しているのかもしれない。
「だとしたら有りがたいな。盗賊スキルをそこまで上げなくて、他のスキルに専念できるから」
「そうですね。それにしても羨ましいです。ハリト君ばかり特殊なスキルがあって」
「あっはっはは……マリアの《聖女の欠片》も、その内にきっと、凄い効果が分かるかも。オレなんてすぐに追い抜かれちゃうよ」
そんな感じの話をしながら、更に迷宮を進んでいく。
雑談に思えるようだが、会話もパーティーのコミュニケーションに重要。
なるべくマリアとは正直に、意見を出し合いようにしていた。
「ん? あれは宝箱かな?」
迷宮の途中で、宝箱を発見していく。
迷宮には魔物だけではなく、たまにこうした設置物もあるのだ。
原理は解明されていないが、一定の時間で迷宮に出現するらしい。
「えーと、罠を解除して……開けるよ」
「はい、何が入っているんですかね?」
緊張にしながら、二人で中を確認してみる。
「これは……短剣かな?」
「お宝には見えないですね?」
「とりあえず【鑑定】してみるね……うん、普通の短剣だ。でも大きさと形は悪くないね」
「それならハリト君、どうぞ。私は刃物を極力持たないので」
「分かった。とりあえず予備として保管しておくね」
基本的に中級迷宮の道中には、それほど貴重な宝箱はなかった。
でも、ほんの些細な宝物でも、オレは嬉しい。
何故ならつい先日までは、自分はレベル1の無能者。
こんな宝箱を開けることさえ出来なかったのだ。
「よし、次は、こっちの道を行こう。ボス部屋まで最短ルートなはずだ」
「分かりました。それにしても、その【探知レーダー】も凄すぎますね。魔物の位置だけじゃなくて、迷宮の作りまで見えるんですから?」
「たしかにそうかもね。このお蔭で二人だけでも、中級迷宮を探索できるからね」
迷宮に潜るパーティーの人数名は、四人から六人までが基本だ。
理由は迷宮の通路の広さと、支援魔法の対象人数のため。
オレたちのように二人だけで、中級迷宮に潜るのは珍しいのだ。
「それもハリト君のお蔭ですね。会得できる経験値も、普通の二、三倍ですから、私たちは」
「そうだね。出来るところまで、二人で頑張っていこうか!」
今のところマリアと二人きりで、困ったことはない。
むしろマイペースに迷宮攻略を出来るので、メリットしかないのだ。
二人でどんどん進んでいく。
◇
気が付くとマップ上では、かなり最深部まで到達してきた。
「ふう……」
マリアは息を切らしていた。
定期の休憩タイムにしよう。
「マリア、この魔石を使って、魔力と体力の回復を」
「ありがとう。使わせてもらいます」
迷宮内の魔物を倒すと、魔力を回復できる魔石をドロップする。
マリアに魔石で、魔力を回復してもらう。
その後は彼女の回復魔法で、彼女に自身の体力も回復。
これで彼女はまた探索に復帰できる。
オレの方は例の謎の恩恵で、体力が自動回復する。
これで二人とも長時間戦えるシステムだ。
「それにしてもハリト君の自動回復も、反則級ですよね? しかも剣も特殊なんですよね?」
「そうだね。切れ味は普通だけど、何故か斬れ味が、悪くらないんだ、これは」
あの不思議な迷宮で借りた片手剣は、未だに現役。
というかオレにとっての最大の武器だ。
ちなみに【鑑定】してみても、普通の剣の結果しか出なかった。
何かステージ以外で、特殊な加護でもあるのだろう。
あ、そうだ。
念のためにステータス画面も確認しておこう。
――――《ステータス》――――
□名前:ハリト(♂16歳)
□職業:軽剣士
□メインレベル14
□スキルポイント:25
□スキル
・剣技(片手剣)レベル4
├
├
├
└
・回避(受け流し)レベル4
├見切り
├受け崩し
├集中回避
└味方受け流し
・隠密レベル2
├忍び足
└壁登り
・盗賊レベル0→2
├new!罠発見
└new!罠解除
・空間収納レベル1
└収納リスト
□固有
・《観察眼》
├鑑定眼レベル1
└探知レベル2
・■■■■■■■■■■
□身長180センチ
――――◇――――
盗賊系のスキルは、道中で会得ししたもの。
どちらも迷宮探索には欠かせないものだ
よし、ステータス確認も大丈夫。
「さて、この先はボス部屋がありそうだから、そろそろ行こうか?」
「はい、そうですね。楽しみですね」
【探知レーダー】でもう一度調べてみる。
うん、間違いなくこの先に、大きめな部屋がある。
さて、行こうか。
――――と、思った時だった。
「ん? この反応は何だ?」
【探知レーダー】に不思議な反応があった。
いつの間にオレたちの後方に、小さな白い点があるのだ。
つい先ほどまでは無かった。
「でも……“何も”いないぞ?」
後ろを振り返る。
だが何にも見えない。
天上や床を確認しても、魔物はいない。
「ハリト君、どうしました?」
「いや、オレの気のせいかな……ん⁉」
――――その時だった。
誰もいないはずの、部屋の片隅。
でも“何か”がいるような気がするのだ。
(透明な……何かがいる⁉ この【探知レーダー】の白い点が、これか? いや、そもそも白い点って……)
オレは剣を構える。
“何者か”がいる方向へ。
確信をもって剣先を向ける。
「……ほほう?」
誰もいない空間から、男の人の声がした!
(白い点はオレとマリアと同じ……つまり他の冒険者がいたのか⁉ しかも……)
特殊な【探知レーダー】でやっと探知できた相手。
「このオレ様に、よく気がついたな、お前?」
危険な相手……高ランクの隠密が、目の前にいたのだ。
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