第20話腕試しへ挑戦

 迷宮で死にかけたことによって、オレは新たな力を入手。

 神聖魔法の使い手マリアの呪いを解き、パーティーを組む。


 オレは一気にレベル14まで上昇、中級職の【軽剣士】にクラスアップにも成功する。


 ◇


 盗賊系のスキルを開眼した。

 冒険者ギルドの前で、新たな天の声が聞こえてくる。


 ☆《チャレンジ:下町の冒険者ギルドで中級迷宮【盗賊の隠し迷宮】の依頼を受けよう。受けてみますか?》

 □YES

 □NO


 盗賊のスキルは試したい。

 タイムリーなチャレンジだ。


 選択する前に、マリアにも相談して決めよう。


「どうしました、ハリト君? 急に立ち止まって?」


「えーと、また新しい天の声が、あったんだ。今日のギルドの依頼の中に、『中級迷宮【盗賊の隠し迷宮】』があるみたいなんだ。それを受けるかどうか、なんだけど」


「たしか“チャレンジ”をクリアすれば、レベルアップするのですよね?」


「そうだね。今までだと、そんな感じかな」


「それなら是非ともやりましょう! たった一回の迷宮踏破で、レベルアップ出来るなんて、普通ではあり得ないことです」


「あっ、そうか。それならチャレンジしてみよう」


 マリアに言われて気が付く。

 最近はオレの感覚が、普通とズレていたのかもしれない。


 普通は短期間でメインレベルが上昇しない。

 つまりチャレンジには積極的に、挑戦していくのが吉なのだ。


「ありがとう、マリア。それじゃ中にいこうか」


「はい。本当にあるか、楽しみですね」


 二人で冒険者ギルドに入っていく。

 まだ朝早いということもあり、ひと気は少ない。


 壁に張ってある依頼書を、二人で調べていく。


「あっ、これだ。中級迷宮【盗賊の隠し迷宮】の依頼だ」


「ほ、本当にあったんですね。やはり天の声は、本当に予言なんですね」


「たしかに、そうだね。よし、これを申し込んでこよう!」


 二人で受付にいく。

 いつものお姉さんに、申し込みの手続きをしてもらう。


「はい、これで完了よ、ハリト君。それにしても本当、この依頼を受けるの? ここは罠がけっこうあるのよ。たしかハリト君は【剣士】よね?」


「あっ、はい。でも実は【軽剣士】にクラスアップできたんです。それで盗賊系のスキルも会得できました」


「えっ……も、もう中級職にクラスアップ⁉ メインレベルはいくつなの、ハリト君⁉」


「えーと、メインレベルは14になりました」


「じゅ、14⁉ つい先日まではレベル1だったのに……。ふう……パパから聞いているけど、本当に今のハリト君の急成長は、規格外よね」


 オレの特殊な能力の知っているのは、今のところお姉さんとギルドマスター、司祭様、マリアの四人だけだ。


「はっはっは……自分でも驚いています」


「それに身長も、そんなに大きくなって。身体もたくましく、しかもイケメン男子にもなっちゃって……余の中には私の想像を絶することが、たくさん起こるのね……」


 なんかお姉さんの話が、長くなりそうな雰囲気だ。


「そうですね。あっ、それじゃ行ってきます!」


 タイミングを見計らって離脱。

 マリアとギルドから出ていく。


 さて、迷宮に向かうとするか。

 でも、マリアが不思議な質問をしてきた。


「ねぇ、ハリト君」


「ん? なに?」


「ハリト君は、あのお姉さんのことが、好きなんです?」


「えっ⁉ な、何で、そんな質問を?」


 いきなりの内容なので、ビックリしてしまう。


「いえ、仲良さそうに話をしていたので、気になって」


「あっ、それは違うよ。あの人は……世話焼きなお姉さん、みたいな感じかな?」


 受付のお姉さんは親切だけど、たまに過保護な部分もある。

 レベル1の時のオレを知っているから、きっと今でも心配なのであろう。


「ふう……そうでした。それを聞いて少し安心しました」


「ん? 何か言った、マリア?」


「いえ、何でもありません。迷宮に向かいましょう」


 なんかよく分からないけど、マリアは機嫌が良くなっている。


「あっ、そうだね! よし、いこう!」


 冒険の準備は、宿を出る前に済ませている。

 二人で目的の中級迷宮に、向かうことにした。


 ◇


 しばらくして目的地に到着。


 迷宮の潜る前に、互いに最終準備をする。


 オレは自分のステータス画面を表示。

 盗賊スキルのレベルを上げておく。


 ☆《ハリトの盗賊レベル0→2になりました》


 今回は一気に二個、上げることにした。

 中級迷宮なので前回と同じように、少し難易度が高いことを予想したのだ。


 よし、念のために、ステータス画面も確認しておこう。



 ――――《ステータス》――――


 □名前:ハリト(♂16歳)

 □職業:軽剣士

 □メインレベル14

 □スキルポイント:28→25


 □スキル

 ・剣技(片手剣)レベル4

 ├斬撃スラッシュ

 ├飛斬スラッシュ・カッター

 ├強斬ハイ・スラッシュ

 └多斬ダブル・スラッシュ


 ・回避(受け流し)レベル4

 ├見切り

 ├受け崩し

 ├集中回避

 └味方受け流し


 □隠密レベル2

 ├忍び足

 └壁登り


 UP!盗賊レベル0→2


 ・空間収納レベル1

 └収納リスト


 □固有

 ・《観察眼》

 ├鑑定眼レベル1

 └探知レベル2


 ・■■■■■■■■■■


 □身長180センチ


 ――――◇――――


 よし、盗賊スキルが、ちゃんとレベル2に上がっている。


 あとスキルポイントも、まだ25も残っていた。

 様子を見ながら、各スキルに臨機応変に分配していこう。


 魔物が強くなったと感じたら、剣技(片手剣)と回避(受け流し)のスキルのレベルアップ。


 罠の探知や解除が難しく感じたら、盗賊スキルのレベルアップを。


 隠密と探知のスキルは、状況をみながら上げていこう。


 よし、これで今回の方針は決まったぞ。


「ん? ハリト君、もしかしてスキルのレベルを上げたんですか?」


「うん、そうだよ。マリアも何か、上げておく?」


「いえ、私はまだ保留です。でも自分の現状が知りたいので、教えて欲しいです」


「うん、任せて、今だして教えるね!」


 マリアに意識を向けて、彼女のステータス画面を表示させる。



 ――――《ステータス》――――


 □名前:マリア(♀16歳)

 □職業:神官

 UP!メインレベル7→10

 □スキル

 ・接近戦(杖)レベル1

 └強打アッタク


 ・回避レベル1

 └集中


 □神聖魔法レベル4

 ├回復系

 ├補助系

 └攻撃系


 □固有

 ・《聖女の欠片》


 □ハリトのパーティーメンバー加護

 └スキルポイント:6→20


 ――――◇――――


 こんな感じだと、マリアに口頭と教えてあげる。


「なるほど、分かりました。私は回避が追い付かなくなってきたら、回避を上げていきたいです。あと危険な毒や状態異常が増えてきた時は、神聖魔法を上げたいです」


「了解。分かった。任せてちょうだい!」


 マリアのスキルアップは、オレの方でしか出来ない。

 だから互いに戦闘スタイルについて、意思疎通をしておく必要がある。

 事前に綿密に再確認していく。


「よし、それなら行こうか! レベルアップした腕試しに!」


「はい!」


 こうして中級迷宮【盗賊の隠し迷宮】に、オレたちは挑むのであった。

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