第18話 ミントとスティル
フォレスキラーと言う魔物は、“血吸い”を武器にしている魔物だと、リデアは言った。
だが、私とルシエル、愁弥、ドワーフのブラッドさんの攻撃で彼等は死んだ。
「ちょっと待って! なんなの?? この森!」
だが、リデアはそう叫んだのだ。
何故ならうようよと……いや、牙を剥き出しで奴等は集まって来たのだ。
ルシエルの咆哮で切り開いた森の木々の側から、ダークブルーの毛を逆立て現れた。
リデアは爪で怪我をした水色の髪をした魔法使いなのだろう。
ローブを着てロッドを持っているから、そう思っただけだ。その少年の傍でしゃがみ込みながら、そう叫んだのだ。
「マズいだろ……この数……。」
愁弥は蒼く光る神剣を構えながら、そう言った。ちらりと大きな大木の下にいる魔法使いの少女ミント、スティルを見たのだ。
ミントと言う娘もまたロッドにローブ姿。
伝承に聞く……“魔法使い”その姿だ。
だが、今は薙ぎ倒され原型留めない木々の向こう側から、のそりのそりとやって来る獣たちを見て、青褪めていた。
「ヤバい……、ムリよ。この人たちがどんな強くてもここは……“禁区”、魔物は幾らでもいるわ。」
可愛らしい顔をしたその魔法使いの少女ミントは、銀のロッドを持ったままそう言った。
「殺される……、血に飢えた魔物に私達は殺される!」
そうーー、叫んだのだ。
グルル……
ガルル……
涎を垂らしまるで久々にエサを見たと言わんばかりの猛獣達が、目の前にやって来たのだ。
“瑠火様がいるから大丈夫!”
私はーー、黒髪おさげの少女のその言葉を思い出していた。
いや? 率直に言えば浮かんだのだ。
まだ、7歳の幼い娘。
私を慕っていつも笑ってくれた……“里の娘美夕”
眼の前で……黒龍に殺された娘だ。
ぎゅっ。
私は双剣を握りしめた。
何故だろうか? ミントと言う娘の“哀しそうな顔”が、私を奮い立たせたのだ。
「大丈夫! 死なせない!!」
私はーー、駆け出していたのだ。
もう喪いたくない!
だからかーー、私にもわからないがその“術語”は出たのだ。
「“疾風迅雷”!!」
双剣を構え私の身体を竜巻が覆う。
走って向かってゆくその身体を覆う竜巻は、彼らの周囲を巻き込み吹き飛ばした。獣たちは、その竜巻に巻き込まれ切り裂かれる。
更に頭上から雷撃が雨の如く降り注ぐ。
何十頭といる獣たちが竜巻と稲妻で死んでゆく。
「おお……。」
ドワーフのブラッドは、その凄まじい破壊力に目を見開いた。
私はーー、剣を構え死に絶えた無残な獣たちの前で息を荒く吐いていた。
何がなんだかわからない。
ただ、疲労感が全身を襲っていた。
けれど、目の前に伏せる死した獣たち。
それを見つめていた。
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