第二話 鱗片の執着
『お父さんとお母さんどっちについてくる?』、『真琴君がやった、僕の耳に!』、『自作自演じゃねーの?』『お前の友達はお前と好んでいる訳じゃ無い、このステータスがあるからだ』。
記憶に基づいた夢を見る度、どれほど心が頼りないかを否が応でも再確認させられる。『あーーあぁ』深いため息を吐き、寝椅子で青年は背伸びをした。関節の叫びが身体中に広がるだけでなく倉庫中に広がって聞こえる様な気がした。湯を沸かしている間に歯を磨き顔を洗う、”馬鹿は風邪を引かないらしいのできっと大丈夫だ”、とでもこの青年は思っているのだろう。言うまでも無く体調を崩した青年は二十代だと言うのに、鏡に立つとそれより十歳位老けて見えた。彼は元々落ち着いた性格で大人びて見えるが嫌だと言う。それも良さだとわかっていない様で、何せ自尊心だけは過剰に持ち歩いていて、それでいて芯がある様に見える。しかし、それは大きく湾曲しすぎて直線状に見えているに過ぎなかった。
こんな時、誰にも頼れないのはその自尊心とともに人間関係を
時間は進まない、進まないのでは無くてきっと進む事を恐れているのだろう、失敗や評価と言う
まずは自分だけで無く他人からの批評を受けてもらおう。友達がいないと思っている様だがそう自分が決めつけているだけだ、勘づかれる前に布石を打つ。憐れな結果になるかは分からないが他人からによる確実な客観的意見を聞けば、少しは変わると信じたい。
その一方、青年はお気に入りの靴を時間をかけて履くのだった。
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