第928話 【番外編】アマビエさん、痩せた

 その言葉の示すとおり、僕らはさらに三日待った。そして不意に、その時は来たのである。


「……よう……」

「アマビエさあ────ん!!」


 薬局の戸口に、よれよれになったアマビエさんが現れた。あれほどあった蓄積脂肪はすっかりなくなり、トドからすらっとしたアシカのような体型になっている。鱗にも艶がなく、全体的に灰色だ。


「よーろっぱ遠い」

「そうでしょうね!!」


 飛行機でもかなり時間がかかるのだ。むしろこの日数で泳いで帰ってきたことが奇跡的である。


「とにかく社長に連絡を」


 僕がメッセージを入れると、社長はとても喜んでいた。

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