第906話 【番外編】アマビエさん、置いてけぼり

「いやあ、上手いもんだなあ」

「人間じゃこうはいきませんよね」


 僕たちも素直に感心する。その横でアマビコさんがぼそっと、「できるかもしれない」とつぶやいた。


「え?」

「ちょっと迷惑にならないところでやってみる」


 アマビコさんはそう言うと、人の気配のない植え込みのところでひょいひょいと腕を伸ばし、猿のように動き始めた。


「すげー……」


 たまたまそれを見つけた子供が呆然としている。妖怪伝説って、昔からこうやって発生してきたんだろうな。


「いい汗かいた」


 ひとしきり動いたところで、アマビコさんはさっぱりした顔で帰ってきた。

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