第896話 【番外編】ベビーアマビエは実在するか

 アマビエさんが駄々をこねるが、社長は笑顔を崩さないままそれを丸めこんでしまった。さすがの年の功。


「美味しい~」

「ありがとうございます」


 横では子供が走り、ご老人の夫婦や親たちがにこにこしながらそれを見ている。自分にもこんな頃があったかと、懐かしく思えてきた。


「妖怪にも子供の頃ってあるんですか?」

「……さあ」

「あったかもしれんが、思い出せんな。親という概念も薄いし」


 確かにアマビエさんたちは、ぽかんとこの世の中に生まれてきたと言っても納得できる気がする。


「ま、考えても仕方無いことだ。次に行くぞ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る