第890話 【番外編】アマビエさん、孔雀を見る

 社長は笑いながら、奥側にいる茶色っぽい鳥を指さした。


「あれが孔雀の雌だよ」

「ええ?」


 アマビコさんが首をかしげた。確かに首はかろうじて緑色なものの、その下は地味で全く別の鳥のようである。


「鳥には雄の方が派手な種類が多いんだよ。派手な羽でメスの気をひいてカップルになろう、っていう戦略さ」

「はあー……そんなもんかねえ」

「ほら、言ってるうちに」


 僕たちの目の前にいた雄が、大きく羽を広げて雌のそばでウロウロし始めた。


「人間も動物も、女の子にアピールしたい気持ちは同じなんだねー」

「でも、雌は全然そっち見てませんよ?」

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