第891話 【番外編】アマビエさん、動き出す

 事務の子の言う通り、雌は雄に完全に尻を向けて、むしゃむしゃと餌を食べている。雄の必死さとは正反対すぎて同情してしまった。


「自然って厳しいんですね……」

「人間も一緒ですよ……」

「ま、まあ……元気出せよ」


 僕とパートさんがしゅんとしてしまったので、アマビコさんがあわてる。そのまま檻の前を離れた。


「さて、どっちに行く?」


 鳥たちの檻から、左右と上に道が延びている。パートさんがもらってきた地図を見ようとした瞬間、先にアマビエさんが動き出した。


「こっちだ。ついてこい」


 そして迷うことなく、ぐいぐいと左の道に向かう。

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