第783話 【番外編】アマビエさんは服、持ってる?

「そんなもののためにクローゼットはぱんぱん、本来しまっておくべきアイロン台や家電が出しっぱなし。その方がよっぽどもったいなくありませんか?」

「ううっ」

「いらん物のために家賃払ってるとはよく言うよな」

「ううううっ」


 僕はまたしても敗北した。ヨゲンノトリさんは黙って、大きなゴミ袋を差し出してくる。


「よほど愛着のある服なら着ていなくても残して構いませんが、三着までとします」

「分かりました……」


 僕は涙をぐっとこらえて、Tシャツをより分けていく。しかし、意外なことに──辛いなと思ったのは最初だけだった。

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