第782話 【番外編】アマビエさんは振り返らない

 ……なぜなりたかったかは聞かないでほしい。


「モテたいからか」


 心の声を読むな、黒い頭。


「……過去は置いておいて、掃除しましょう」

「そうですね。まずは衣服からいきます。この一年、全然着なかった服は原則捨てちゃって構いません。どんどんこの袋に入れてください」

「でも、もったいないような……」


 僕が言うと、ヨゲンノトリさんの目がきらめいた。


「ワンシーズン三ヶ月、それに前後一ヶ月くらいを移行期としましょう。最大百五十日もあったのに一度も袖を通していない服は、もはや存在しているとは言えないのでは?」

「うっ」

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