第679話 【番外編】アマビエさん、聞かざる

 僕たちは一緒に部屋に戻った。


「さ、とりあえず白米をよそうわね」

「大盛りで頼む。傷を治すためには栄養が必要だからな」

「そのお腹にストックが山ほどあるでしょう」


 もちろん、アマビエさんはクタベさんを完全に無視した。


「じゃあ、最初は鮭と昆布にしとけ。ちっとはマシだろ」


 アマビエさんは嬉しそうに、アマビコさんから飯椀を受け取った。普段喧嘩ばかりしているくせに、こういうところでは二体とも素直である。


「……意外だなあ」

「何がだ」

「てっきり、『アマビコがよそった飯なんか食えるか!』って言ってひっくり返すとかやるのかと」

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