第678話 【番外編】アマビエさん、アシカになる

「い、いや奥さん。体格差的に無理だろ。俺がやるから──」

「大丈夫です」


 アマビコさんが手を出したが、奥さんは一人でひょいとアマビエさんを持ち上げてしまった。その様子に、皆があっけにとられる。


「妻は、昔から日本の古武術が好きでね。力の入れ方とか身のこなしとか、効率よく動く術を知ってるんだ。任せておいて構わないよ」


 薬局長が笑いながら言った。まさかあの細身の奥さんが、そんな特技を持っているなんて。人は見た目によらないものだ。


「おうおうおう」


 アシカのような声をあげながら、アマビエさんが運ばれていく。

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