第677話 【番外編】アマビエさん、感謝する

「捕虜に食料を運べ」

「構わないから、このままどこかの川に捨てましょう」


 クタベさんが冷徹に言い放った。


「ぎゃー」

「……まあまあ。仲間はずれにしたのはこっちが悪かったし、今日は混ぜてあげないかい?」

「私も投げ飛ばしちゃったしね。お詫びにご飯食べていって。ダイエットは明日からにしたら」


 薬局長と奥さんがフォローに入る。正直、僕はそれで少しほっとした。やっぱり、集まりにアマビエさんがいないのは寂しい。


「恩に着る」


 アマビエさんは寝そべったまま、薬局長夫妻に向かってちょっと右手を挙げた。


「起きられる? 私につかまって」

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