第673話 【番外編】アマビエさん、のたうつ

 そして、「ギエエエエ」という、なんだか妙に聞き慣れた悲鳴も。


「さ、小口葱がとれたわ。刻んで薬味にしましょ」

「さっきの音は……」

「それに悲鳴も……」

「大きな鼠がいたのよ」


 それでは説明になっていない。僕が庭に目をやると、大きくて黒い何かがのたうっていた。


「あ、アマビエさん!?」

「あれが……アマビエ……?」


 驚く奥さんを残して、僕はアマビエさんに駆け寄った。確かにアマビエさんは全身真っ黒になって、闇夜に目玉だけ光っている。


「ヤクザ……我は怪しくないのに……襲われた……」

「その認識は正しくないですね」

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