第661話 【番外編】アマビエさん、歯ぎしりしそう

「かんぱーい!!」


 薬局長の音頭で、全員がお猪口を持ち上げた。僕と奥さんは軽く口をつける程度にとどめたが、他の面子はあっという間に飲み干している。


「切れがよくて美味しいお酒ね」

「なかなかうまいな」


 妖怪たちもいける口らしい。おかわりが進み、皆は楽しそうに歓談し始めた。僕は料理の方に手をつける。


「美味しい!」


 まずは紅白なますを口にする。悪い酢の物だと刺激臭で味どころではないが、このなますは大根と人参の味がして、酢の風味もまろやかだ。


 小鉢に入っているのは、なんとイチジクの揚げ物におろしあんをかけたものだった。

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