第647話 【番外編】アマビエさん、不作を予告する

「お前にだけ不作をばらまくぞ」


 戦いの構えをとるアマビエさんをなだめるのに、しばらくかかった。その間に、患者さんが入ってくる。


「しかし、これだけご飯の話をすると……実際に食べたくなってくるなあ」


 対応をする僕の耳に、薬局長の言葉がかすかに聞こえてきた。




「ねえ、今週の土曜日は暇かな」


 薬局長に、不意に声をかけられた。


「暇ですけど」


 今週末は、祝日と土曜日がかぶっている。普通の土曜日は午前中開けているが、こういう時は完全に休みだ。


「この前話に出たご飯……うちで実際に作ってみない? 娘が小学校のイベントでいないんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る