第646話 【番外編】アマビエさん、強要する

「鰻丼やカツ丼が好きなんだ」


 ヨゲンノトリさんが、意外な好みを口にした。


「脂っこいものが好きだからこそ、それをどう減らすかを真剣に考えていたら栄養学にたどりついた、というわけです。純粋なご飯のお供でなくて申し訳ありませんが」

「なんだ、我の仲間ではないか」


 アマビエさんが伸ばした手を、黒い頭が振り払った。


「我慢出来るか出来ないかが大きな差なんだ。仲間扱いするな、くびれのないトド」

「人間の目で見れば我にくびれがあるのは明白。な、ヤクザ」


 アマビエさん、こっちに振らないでほしい。


「すみません、見えないです……」

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