第633話 アマビエさん、びっくりする

 それを知っていた僕は、無言でうなずいた。


「そんなに。じゃああの薬草、企業に持っていけば買ってくれるのかしら……」


 クタベさんが突然、とんでもないことを言い出した。


「え?」

「白沢の記憶の残滓みたいなものが、わずかにあるのよ。その中のいくつかの薬草は、まだ人間が見つけてないはず」

「クタベさんも急に辞めないでね……」


 薬局からもしかしたら、億万長者が出てしまうかもしれない。それを喜んだり悲しんだりしながら、その日の午後は過ぎていった。




【薬局あるある】

 意外なところに新薬のヒントがあることも……いや、ないか。

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