第610話 アマビエさん、外に出た

 いつもラクをさせてもらって申し訳ないな、と思っているが、まだ立場を交代できるほどの実力がないことも分かっている。


「それでも、いつかは……」

「失礼します」


 意気込みを中断するように、薬局の入り口から聞き覚えのある声がした。患者さん、という感じでもなく、いつもの人外組のだれかでもない。


「二星から参りました。お世話になっております」


 きちんとスーツを着こなした男性が、僕にむかってお辞儀した。この人も卸であるが、さっきの人とは立場が違う。



【薬局あるある】

 薬局長と新人だと、実力には天と地ほどの差がある。

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