第572話 アマビエさん、理解者

 身支度を整えてふと振り向くと、アマビエさんの姿はそこになかった。


「全く、自分勝手なんだから……」


 ぶつぶつ言いながら外に出ると、庁舎の前に一台のタクシーが止まっていた。その前には、格好良くたたずむアマビエさんの姿がある。


「どうしたんですか?」

「支払いは済ませた。乗れ」

「ええっ!?」

「薬局長が困っているのだろう? 少しでも早い方がいい。お前の自転車は、我が運んでやる」

「アマビエさん……!」


 なんて格好良い人外なんだ。僕はあなたを誤解していた。



【薬局あるある】

 少しでも早いフォローと役割分担が大事。

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