第507話 【番外編】アマビエさん、ナイスムーブ

「……でも、よく分かったでしょう。怒りを口にして伝えてくれる、優しい存在だけとは限らないということが」

「ええ、身に染みましたよ。そこまで分かってくださるなら、僕はこの怒りを引きずらないことにします」


 すっかり毒が抜けた薬局長が、頭をかいた。普段の彼に戻ってくれて、僕と事務の子は胸をなで下ろす。


「よかった。薬局長まで怒りっぽくなっちゃったら、どうしようかと思いましたよお」

「確かに」

「すまんすまん、心配かけたね。僕らはできることをしていればいいんだ。それを忘れていたことに気付いたよ。これでは、彼らと同じだ」


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