第411話 【番外編】アマビエさん、世間知らず

「ない」


 まだ白い顔をしながら、アマビエさんは首を振った。


「ええ……」

「ないかもしれませんねえ。アマビエさんのおうち、平屋だったし」

「うちに来た時も、運動がてら階段を使ってもらってました」


 この前エスカレーターで大騒ぎしていたから、エレベーターのことを説明しておけばよかった。僕の失策でもある。


「もう、次回は大丈夫である」

「そう願いたいわ」

「じゃ、帰りに乗ってみましょうね」


 アマビエさんの手を引きながら、薬局長が優しく言った。


「はいはーい、みんなこっちですよう」


 センセイに伴われて、僕たちはお宅にお邪魔した。

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