第409話 【番外編】アマビエさん、無遠慮

 彼は非常に目立つ。人外たちも、すぐに気付いた。


「狒々の住み処を荒らしてしまった」

「ちゃんと謝りなさい。知能の高い狒々のようですよ」

「彼は人間です」


 まじめにやっているのに、時々ズレるのが人外クオリティなのだろうか。


「…………」


 狒々扱いされた大男は、柱に手を当ててうつむいている。マインドはこの上なく繊細なようだ。


「あの人、警備員さんなの。注意するのが仕事なんだよ」

「そうか。悪いことをしたな」


 センセイにたしなめられ、アマビエさんは謝った。


「……以後、気をつけて」


 警備員はそう言ったが、目には涙が浮かんでいた。

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