第405話 【番外編】アマビエさん、手ぶら

 クタベさんはそう言って、持っていた紙袋を差し出した。


「お菓子よ。少ない上に、近くで買ったもので申し訳ないけど」

「れ、霊獣からの差入れ……はうう」


 センセイは完全に舞い上がってしまった。


「クタベさん、気配りすごいですね」

「当たり前よ、こんな大人数で押しかけるんだもの。ご家族に挨拶するのに、何もないなんて失礼じゃない」


 ずぼらな人間より人間らしい気遣い。流石スーパーキャリアの名にふさわしい。


「ありがとうございます。でも、今日は両親ともに仕事なので」


 センセイの父親は医師、母親は看護師だと聞いて僕たちは納得した。

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