「さて」

　僕はがらんとした駅の中で伸びをした。通常なら人に手が当たるので気を遣うが、今や土曜であっても通行人はまばらである。

　僕の隣には……まあ、お決まりのように妹がいる。お互いいい年なんだから別行動で、と言いたくなるが、今日はセンセイの家に行くので彼女は外せないのだ。

「えへへー、嬉しいな。今日は参加できて」

「良かったねえ」

「全員そろうのも珍しいですね」

　前回不参加だった事務の子と、今日は驚くことに薬局長も一緒である。奥さんが「たまには外で息抜きしてらっしゃい」と送り出してくれたのだそうだ。できた奥方である。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい