第314話 【番外編】アマビエさん、都合の悪いことは聞こえない

「十キロ?」

「アマビエが言ってたよ。大食いの子がいるんだろ?」


 確かに事務の子は大食いだが、今回は不参加だ。僕はアマビエさんをにらむ。


「ちゃんと伝えといてくれないと」

「伝えるつもりはあった」

「あったじゃダメでしょう」

「忘れた」

「嘘だあ」


 アマビエさん、ちゃらんぽらんだが決して頭は悪くない。一回聞いたことは覚えているはずだ。


「アマビエ、最近ダイエットしてるから。肉とか脂は、あんまり買ってなかったんだよな」

「ああ」


 社長の一言で得心がいった。アマビエさん、自分が肉を食べたいものだからわざと黙っていたのだ。

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