第312話 【番外編】アマビエさん、脂を愛する

「今日はいい肉だからね、楽しみにしてなよ」

「あぶらーあぶらーあぶらー」


 アマビエさんは社長の周りをくるくる回る。


「モデルが動いちゃだめじゃないですか」

「心の目で見て描け」

「……この前みたいなできあがりでいいですか」


 そう聞くと、アマビエさんは急にぴたっと止まった。


「ご協力感謝します」


 僕はペンを動かし、下手な作画を完成させた。うん、才能ないなあ。


 作画を諦め、社長の様子を観察することにした。彼は、いそいそと大量の調味料を用意している。


「どうするんですか、それ」


 一緒に休憩に入ったセンセイが聞いた。


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